凸版印刷は12月24日、凸版印刷内に開設した顔計測データをはじめとしたさまざまな人体情報データ活用に関する研究/用途開発を行う「トッパン バーチャルヒューマンラボ」においてコーセーと、南カリフォルニア大学の技術で開発された高品質顔画像撮影装置「ライトステージ」で撮影した顔計測データを活用し、バーチャル空間上で肌質に合わせたカウンセリング、商品選びを支援するサービスの開発を目指し、顔の計測データ上に化粧層の光学シミュレーションを行うことで、肌質による見え方の違いを確認する実証実験を実施したと発表した。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で店舗での接客や肌のカウンセリングの機会が減少しているほか、店頭ではテスターが撤去されているケースも多いため、消費者にとっては商品選びが難しい状況が続いているという。
このような中で両社はバーチャル空間上で肌のカウンセリングや、化粧品選びを支援するシステムの開発に向けて実証実験を開始。今回の実証実験では、ライトステージを活用して高品質の顔計測を実施し、計測データから制作する3DCGデータを用いて、肌のカウンセリングや3DCGデータ上に化粧層の光学シミュレーションを施すことの有用性を検証する。
実証実験に先立ち、実施されたプレ実証ではコーセーのファンデーションに含まれる、特徴的な顔料発色特性が3DCG上で忠実に再現できることが確認できた。実証の成果から、高画質バーチャル化粧シミュレーターなどのバーチャル空間上でのカウンセリングや化粧品選びを支援するシステムにライトステージ活用の可能性が示唆されたという。
実施期間は2018年10月29日~2021年1月31日(2018年に計測したデータを活用)、実施場所は凸版印刷内のトッパンバーチャルヒューマンラボ(南カリフォルニア大学ICT VGLでも一部実施)、各社の役割として凸版印刷がライトステージよる高精度顔画像計測、独自の制作ラインによる3DCGデータ化、化粧情報のマッピング、メイクアップシミュレーターの開発を、コーセーがライトステージ撮影被験者の提供、化粧品情報の提供、シミュレーターのチューニングアドバイスをそれぞれ担う。
実証を踏まえ、バーチャル空間上でのカウンセリング、商品選びを支援するシステムの構築を進める。また、凸版印刷はライトステージによる顔計測情報をはじめとした、人体に関するさまざまな情報をAPI経由で提供することで、企業が人体に関する事業開発を行うことができる情報基盤「人体情報プラットフォーム」の構築を目指す。