インターネットイニシアティブ(IIJ)は12月17日、千葉県白井市の同社白井データセンターキャンパス(白井DCC)で蓄電池を夏場の空調用電力の平準化に使用することを目的に、電力のピークカットとピークシフトの実現に向けた本格検証を行った結果、年間ピーク期となる2020年8月において同キャンパス全体の電力需要に対し、10.8%のピークカットの効果を実測したと発表した。
同実験は、蓄電池の運転制御機能を持つという米テスラ製の産業用リチウムイオン蓄電池である「Powerpack」を2019年11月に同キャンパスへ導入して、検証を進めてきたもの。
具体的には、まずPowerpackに過去の使用実績に基づいた電力需要データを読み込ませ、併せて日々の運用を通じて機械学習を繰り返すことで、電力の予測データを算出した。そのデータと電気料金のメニューを照合して、単価を考慮して充放電するように設定した
稼働するデータセンターの電力需要の変動に対し、蓄電池が学習結果に基づいて自動的に充放電のタイミングを制御することで、ピークカットとピークシフトが実現できるか、検証と評価を行った。
2020年8月の実測データによる検証結果としては、まずデータセンターの電力需要(夏季に最も電力を使用したピーク日)に対し、10.8%のピークカットの効果を実測したという。続いて、電気料金メニューに基づき、時間帯別の電力量料金の単価を基に充放電を自動制御でき、想定通りにピークシフトを実施したことを確認したとしている。これらにより、電気料金を削減できることを確認した。
インターネットのトラフィック制御では回線容量があふれるとパケットを廃棄せざるを得ないが、電力の場合は一時的に蓄電池に蓄積できることから、電力の流れの制御により送電網容量の予備として確保している空き容量を有効利用できるという。
今回実証したピークカットによる電力の平準化の仕組みは、送電網内で大量に電力を消費するデータセンターに、データだけでなく電力を貯める場所としての機能を持たせることも可能とし、電力需給調整や世界的に高まる再生可能エネルギーの利用拡大に寄与していくものと同社は考えている。