(電気の)照明! 輝く光を灯したのは誰?

19世紀半ばに多くの開発が行われ、世界が少しずつ明るくなる道が開けてきたなかで、電灯の発明者を名乗る人が大勢います。

発明の瞬間は正確に特定できないかもしれませんが、分かっていることは、1879年にトーマス・エジソンが最初の商業的成功を収めた電球である、炭化竹フィラメントを用いた電球の特許を取得したということです。それ以来、最近まで、20世紀初頭の炭素からタングステンへの移行などフィラメント材の細かな改善を除いて、基本的にエジソンの古い技術が使用されてきました。

白熱電球はすぐに至る所で使われるようになり、低コストで高品質な光を提供してきました。しかし、ここ10~20年の間に、ほとんどの住宅や商業施設で従来の白熱灯に代わってLEDが採用されるなど、照明技術の根本的な変化が起きています。

  • LED照明

LEDが引き継ぐ明るい光

LEDライトは1960年代からありますが、白色LED電球が誕生したのは1990年代に青色LEDが発明されてからです。それ以来、LEDライトは従来の電球に対抗して着実に価格が下がり、多くの市場で優勢な技術となっています。

世界中の住宅向け販売において、LEDは蛍光灯をも追い越し、2018年までに市場シェア40%に達しました。現在、LED電球は多くの国で2ドルから5ドルといった価格で小売りされているようですが、地域によってはさらに安い価格で販売されています。例えば、インドでは政府は地元の製造業者に対して税金や関税を値下げすることによって LED照明の採用を拡大させました。

LEDは白熱電球に比べて多くの利点があります。すなわち、寿命が長く、発熱が少なく、消費電力が少ないため、生涯コストを削減でき、消費電力が少ないため環境にも優しくなります。また、LEDは大部分の蛍光灯よりも消費電力が少なく、スイッチを入れるとすぐに最高輝度に達するという利点があります。

LEDは本当に環境に優しいのか?

照明は世界の電力消費量のかなりの部分を占めており、欧州委員会では15%前後と推定されています米国では、住宅部門および産業/商業部門の照明は、消費される総エネルギー(電気だけではない)の7%を占めています

気候変動の危機が迫っている現在、私たちは照明の消費電力を削減する必要があります。パリ協定に署名した国々が温室効果ガスの削減目標を達成するには、大幅な削減が必要です。

LEDはこれを実現するのに役立ちます。住宅向けLEDライトは、一般に消費電力1W当たり90ルーメン以上のランプ効率(lm/W)を実現しており、供給メーカーは新しいモデルについては200lm/W以上のランプ効率を提供できると主張しています。比較すると、従来の電球は15lm/W程度、ハロゲンライト25lm/W、「省エネ型」蛍光灯は標準で約55~60lm/Wを実現できると考えられます。

事業向けでは、選択される光源は蛍光灯の場合が多く、100lm/W前後と比較的高効率です。しかし、蛍光灯が生み出す光の質は荒く、一般的にLEDが生み出す暖かい光の方が多くの人に好まれます。

低消費電力の特長は、従来利用できなかった場所で電気照明が可能になる、新たな機会を作り出すことです。具体的には、電力網がない場所で太陽エネルギーからライトに給電します。例えば、2010年から17年の間に、主にアフリカとアジアで1億3,000万台の太陽光発電による照明が導入されました。日没後にクリーンで安全な照明が利用できるようになれば、人々の生活の質が向上し、子供たちが家庭で勉強することも可能になります。

政府の規制により、一部の地域ではLEDへの転換が加速しています。例えば、EUではLED照明に最低効率基準が設けられており、効率の低いランプは販売が認められなくなっています。

LEDの効率向上をどう実現するのか?

住宅用照明や商業用照明の場合、高電圧交流(AC)電源からLEDに電力を供給する必要があります。しかし、LEDにはそれよりもはるかに低い電圧の直流(DC)が必要です。適切な電圧でACをDCに変換するには、所定のドライバと他の電源管理デバイスが必要です。これらのデバイスには必然的にある程度の非効率性が伴いますが、これは最小化の対象になります。

LEDの順方向電圧は電流と色によって、2V未満から最大4.5Vまでの幅があります。オン・セミコンダクターなどの企業は、電源管理の専門知識を駆使し、LEDを確実かつ効率的に駆動するのに必要なデバイスを開発することによって、LEDの採用を支援してきました。

例えば、オン・セミコンダクターのAC入力電源で使用するように設計されたLEDドライバ「NCL30082」は、高効率を実現するPWM電流モードコントローラを内蔵し、斬新な制御方式により、必要な外付部品点数を削減します。また、LEDの調光にも対応しています。入力ブリッジ整流器と同じくオン・セミコンダクター製スーパージャンクションMOSFETにより、LEDを駆動するための電力変換回路を構築することができます。

照明アプリケーションでは、完全なシステムを構築するのに、LEDドライバだけでなく他の部品も必要です。これには、例えば周囲光レベルを検出してLEDの明るさを自動的に調整したり、オフィス内で人の存在を検知すると照明を点灯したりするためのセンサーが含まれます。

一部のアプリケーションに必要な部品として、オン・セミコンダクターの「NUD4700」などのLEDバイパスシャントがあります。これを使用すれば、1個のLEDが故障しても、シャントによって電流が故障したLEDの周りを流れるため、LEDストリングの残りの部分は点灯し続けることができるようになります。

将来に向かって:照明はよりスマートに

「スマート」または「コネクテッド」照明は、LEDライトの供給メーカーが製品を差別化し、利益幅を拡大できる機会をもたらすため、成長トレンドが続く部門の1つです。さらに重要なことは、単にLEDを使用するだけでなく、自動化とユーザー制御によって、さらなる省電力化が可能になることです。例えば、週末にオフィスの照明を消すなど、特定の時間帯における照明条件を自動的に調整することもできます。

照明器具は、業界標準のKNXネットワークなどの電力線ネットワーク、またはZigbee技術やBluetooth技術などのワイヤレス技術を使用して制御できます。LED自体の価格が下がっただけでなく、これらのネットワーク製品もここ数年でコストが低下したため、スマートLED電球は住宅向けとしてますます手頃になってきています。

現在、コネクテッド照明は、スマートホームやビルの部門で最も成長が期待される分野となっています。Amazon Alexaなどの音声制御アシスタントを含むスマートホーム技術を自宅に設置する人が増えているため、スマート照明市場は今後数年間で急成長が見込まれます。LEDは調光や色の変化が可能なため、周囲光や時間帯、さらにはテレビの出力にも反応する家庭用照明の新たな展開が可能になります。オン・セミコンダクターのThe Connected Lighting Platformは、エンジニアがBluetooth技術、Zigbee技術、その他のワイヤレス技術と組み合わせて、さまざまなLED電源ソリューションをテストできるモジュールキットです。

まとめ

LED技術は長い道のりを歩んできましたが、今後数年間でさらなる消費電力の削減が期待されており、またスケールメリットにより価格も低下し続けるでしょう。

オン・セミコンダクターなどの供給メーカーは、住宅用、商業用、自動車用の各アプリケーションにおいて、LED照明に必要な電子回路の効率と機能を向上させるために努力を続けています。どのような用途に使われるにしても、LEDライトはイノベーションによって、明るい未来が待っているでしょう。

著者プロフィール

Ali Husain
ON Semiconductor
Corporate Marketing & Strategy