韓国の大手企業にとって12月はグループ会社の人事発表の季節だが、SK Hynixの副会長人事とSamsungのCTO人事が韓国半導体関係者の間で話題になっている。

キオクシアへの資本参加を陣頭指揮したSK Telecom社長がSK Hynix副会長を兼務

SKグループの中核企業である韓国最大の通信キャリアSK TelecomのPark Jung-Ho社長が同社の副会長に昇格するとともに、新たにSK Hynix副会長を兼任することが明らかとなった。

同氏は、SKグループ全体を率いるChoi Tae-Won(崔泰源)会長の最側近参謀としてHynix Semiconductor(後のSK Hynix)の買収、東芝メモリ(後のキオクシア)への資本参加、最近ではIntelのNAND事業買収などの半導体関連の大型M&AをChoi会長の意向をくんで陣頭指揮した人物として知られ、SKグループ内でICT技術と半導体技術の両面で最高の専門家とみられている。

今後、キオクシアの東京証券取引所への新規上場(IPO)に際しても同社の株式取得(米日韓企業コンソーシアムが買収時点での契約では14.96%)に向けて陣頭指揮するものとみられる。

先般、SK TelecomはAIチップを自主開発し市場参入を発表したが、今後、半導体(ASSP)開発に関して、Intel出身のLee Seok-Hee氏が社長を務めるSK Hynixの経営にも直接参画し、両社の連携をより密接なものにするとみられる。なお、SKグループ役員の人事は、SK Hynixの人事も含めてすべてSKグループを統括する持ち株会社SK Holdingsが掌握している。SKグループのChoi会長は、今後、ESG(環境・社会・企業統治)を企業経営で最重視し、傘下の企業評価の指標にすると宣言している。

Samsung半導体部門が11年ぶりにCTO職を復活

Samsung Electronicsも12月、新たな人事を発令した。11年ぶりに半導体(Device Solutions)部門の最高技術責任者(CTO)の地位を復活させ、これまで半導体委託生産(ファウンドリ)ビジネスユニットであるSamsung Foundryを率いていたJung Eun-Seung氏が、その職に就いた。

NANDメモリの容量が毎年倍増していくというファンの法則を提唱したHwang Chang-Gyu氏(元Samsung Electronics統括社長)がCTOを務めていた2009年以来のCTO職復活で、Samsung Electronicsによると、新CTOは、EUVリソグラフィの活用を含む最先端の微細化プロセスの開発を主導し、2022年の量産に向けた3nmのファウンドリプロセスの実現に加え、DRAMでのEUV適用など、先端プロセス全体を担当するという。

同氏は、米テキサス大学で物理学の博士号を取得した半導体の専門家で、直近でもSamsung FoundryでEUVの生産導入の陣頭指揮をとっていた。Samsungは、EUVを活用した先端プロセスの立ち上げや量産導入で先行しているTSMCに追いつき追い越すためにCTO職を復活させたのではないかと韓国半導体関係者は見ている。