Lattice Semiconductorは12月8日(米国時間)、FPGAの新製品「Mach-NX」を発表した(Photo01)。これに関する説明が12月10日にラティスセミコンダクターよりあったので、この内容をお届けしたい。
今回の製品は名前こそMach-NXで、製品の位置づけとしては汎用向けという事になるが、内部的にはNXという名前から判る様に28nm FD-SOIを利用したNexusプラットフォームに属する製品である(Photo02)。
Nexusプラットフォームの最初の製品がビデオブリッジ向けのCrossLink-NX、次いでそのCrossLink-NXからビデオブリッジを抜いた汎用向けがCertus-NXとなるが、今回のMach-NXでは汎用向けという意味ではCertus-NXと同じ位置づけではあるが、従来のMach XOシリーズの延長となるような機能と性能を搭載した製品という事になる。その機能と性能とは?というと、最大のものはセキュリティである(Photo03)。
元々MachXOシリーズは、2019年5月に発表されたMachXO3DでハードウェアベースRoT(Root of Trust)の搭載やリアルタイムレジリエンス性、ライフサイクルマネジメントなどに向けたセキュリティ拡張を施していた。これをそのままNexusプラットフォームに乗せたのが今回のMach-NXという形だ。
Photo04がそのMach-NXの「ラフな」構成図である。向かって左がMachXO3Dから引き継いだ(というか、MachXO3Dをさらに拡張した)セキュリティ関係で、Secure EnclaveがROTを含むセキュリティドメインである。
その下のOn-chip Secure Dual Configurationは要するにDual BankのFlash、Configurable PFR(Platform Firmware Resiliency)がレジリエンス関連機能となっている。一方で右側がCertus-NXから引き継いだ、というかNexusプラットフォームの標準構成を利用した部分だが、特徴としてついにRISC-VコアをHard IPで搭載した事が挙げられる。ただこれが何か? というのは現時点では未公開だそうである。このRISC-VコアはSecure Enclaveを含むセキュリティ制御にも利用される一方で、セキュリティ関連処理を行っていないときはユーザーに開放されているとの話であった。
Photo05が今回のMach-NXと従来のMachXO3/XO3Dとの比較である。LC(Logic Cell数)そのものは、従来のMachXO3/XO3Dが最大9400LC、Mach-NXが11K LCとなっているが、このうちPFRの処理のためにある程度のLCが利用されるため、PRF利用時はMach-NXが8.4Kまで減る事になる。ただMachXO3Dだとこれが2.4Kだったので、6Kほど利用可能なLCが増えた計算だ。Flash Memoryはほぼ同等だが、暗号化エンジンの強化などが施された事とRISC-Vコアの搭載ということになる。ちなみにMachXO3/XO3DとMach-NXは、LCの構造そのものは同じなので、RTLをLattice Diamond上でそのまま再コンパイルすれば「基本的には」動作するはずという話であった。
ところで先ほどもちょっと話題にあったレジリエントサーバーだが、現在供給中のMachXO3Dは、IntelのWhitley Platformに対応している。これはIce Lake-SPに対応したもので、2021年第1四半期あたりに登場予定と目されているものだが、これに続きSapphire Rapids世代ではEagle Stream Platformに切り替わる。Mach-NXはこのEagle Stream Platform向けのレジリエントサーバとして構成可能という点が特徴であり、2021~2022年(これがいつになるかはIntel次第)のXeon向けに広く採用されることが期待できそうである(Photo06)。
Mach-NXはすでにαカスタマーへのサンプル出荷を開始しているそうで、量産は2021年からという話であった。また、このところMachのラインナップの更新が盛んだが、もう1つある同社のiCE40ファミリーについても、2021年は色々製品展開があるようで、このあたりも楽しみである。