AWS (Amazon Web Services)は先日、Amazon EC2の新しいインスタンスである「Mac インスタンス」を発表した。2021年にはApple M1を搭載したMac インスタンスの導入も予定されている。Amazon EC2でMacを使ったアプリ開発やシステム開発が可能になることに多くの開発者が驚いた。

12月10日(米国時間)、AWSの年次イベント「AWS re:Invent 2020」の基調講演において、Global Infrastructure and Customer SupportのSenior Vice Presidentを務めるPeter DeSantis氏から「Mac インスタンス」の紹介が行われた。Mac インスタンスに触れた時間は短いかったが、そのスクリーンショットは目を奪われるものだった。

  • AWS、Global Infrastructure and Customer Support、Senior Vice President、Peter DeSantis氏

    AWS, Global Infrastructure and Customer Support, Senior Vice President, Peter DeSantis氏

データセンターは基本的にラックの塊だ。Mac インスタンスに「Mac mini」が使われていることは先日の発表で公開されていたが、どのように使われているかは気になったところだ。Peter DeSantis氏は基調講演の中で、ラックの中にMac miniがそのまま収められているスクリーンショットを公開した。

  • ラックに収められたMac mini

    ラックに収められたMac mini

Mac miniはAWS Nitro Systemに接続されている。AWS Nitro SystemはAWS で構築されたハードウェアとソフトウェアのコンポーネントの集合で、EC2インスタンスの基盤となるプラットフォームだ。フロントエンドにNitro Systemが接続されていることで、このMac miniはAWSが提供するほかの機能を使用することができる。このような仕組みにすることで「Mac インスタンス」を実現したということだ。

  • Mac miniにはNitroが接続されている

    Mac miniにはAWS Nitro Systemが接続されている

Peter DeSantis氏は基調講演の中でAWSがデータセンターにおいて進めている取り組み、電力供給から消費電力の改善、持続可能性、100%再生可能エネルギーへの取り組み、新しいEC2インスタンスの発表なども行った。

費用対効果の高いデータセンターを開発および運用するには、大元の電源供給から内部のハードウェアデザインまで包括的に開発を進める必要がある。AWSの取り組みは正にそうしたデータセンター全体での最適化であり、今年も順調に改善が進められている様子が示された。

Apple M1は高い性能に加え、消費電力が低く、さらにApple M1を搭載したデバイスの価格が既存のモデルと比べて廉価になる傾向が出ている。開発者の多くがこのプロセッサと、このプロセッサを採用したデバイスに高い興味を示している。AWSは2021年にはApple M1を搭載したMac miniで「Mac インスタンス」の提供を開始するとしている。今後の展開から目が離せない。