SEMIジャパンは12月10日、11日から18日にかけて初のオンライン形式での実施となるエレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2020 Virtual」の開催に先駆け、今回の概要説明会を開催。見どころの紹介などを行った。
東京ビッグサイトにて開催される半導体製造工程から、 自動車やIoTなどのSMARTアプリケーションまでをカバーする、エレクトロニクス製造サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2019」に先駆けて、今年の概要説明会を開催。見所などの紹介を行った。
デジタル時代に不可欠な存在となった半導体
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大により、生活、仕事、教育、医療など各方面でリモートやオンラインといったキーワードが認識され、それに伴い、VR、AR、MRなどのxR技術の普及拡大などすべての面で劇的に変化が生じた1年となった。また、日本に限って言えば、スーパーコンピュータ「富岳」が性能ランキングTop500で2連覇を達成したほか、直近では、小惑星探査機「はやぶさ2」が6年の旅路の果てに、無事に地球に小惑星「リュウグウ」のサンプル(砂)を搭載したと思われるカプセルを送り届けるなど、その技術力の高さを示す年となったといえる。
こうした世情を踏まえ、荏原製作所 取締役代表執行役社長で、SEMICON Japan推進委員会 委員長を務める浅見正男氏は、「データを生成して、それを貯蔵し、高速で処理するという動きと、それを実現するための情報通信技術が組み合わさることで、こうした世の中の変化に対応できるようになった。例えば富岳では、その処理能力を活かしたシミュレーションを活用することで、新型コロナの感染拡大の防止策が考案されるなどといった使い方が示されたが、そうしたデータをどうこうする、といったことは、半導体がなければ実現できなかった。これからは、IoT、AI、クラウド、自動運転、通信といったものが一体となって進化していく時代になる。そのためには半導体はやはり欠かせない存在となる」と、デジタルトランスフォーメーション(DX)の今後の進展に併せて、より半導体という存在の重要性が増していくことを強調した。
日本は半導体メーカー自体の市場シェアは凋落の一途をたどっており、その存在感はあまり高くはない一方で、その製造装置を見ると、シェアは30%ほど、素材になると実に50%以上のシェアを日本企業が有している。「今年はバーチャルでの開催となったが、日本の多くのメーカーが世界の半導体産業を支えていることを、SEMICON Japanを通じて見てもらいたい。各社のブースの展示内容はもとより、カンファレンスもキーノートをはじめ、盛沢山なので、ぜひ半導体に興味を持って、来場してもらえれば」(同)と、来場を呼び掛けた。
テーマは「次代のコアになる。」
SEMICON Japan 2020 Virtualのテーマは「次代のコアになる。」。半導体がすべての産業、生活そのもののコアになる、という想いが込められたもので、この数年、使われてきたテーマだが、毎年若干、その意味が変化してきている。今年は、コロナ禍によるデジタル化を踏まえ、人々の生活を豊かにするための戦略的な存在になる、という意味が込められているという。
そんなSEMICON Japan 2020 Virtualだが、12月10日時点での最終出展者数は172社・機関となっており、11月に開催された概要説明会での約160社から増加している。また、その出展者の所属する国も、日本のほか、米国、カナダ、イギリス、ドイツ、オランダ、イタリア、韓国、シンガポール、マレーシアの10か国と多岐にわたっている。
SEMIジャパン代表の浜島雅彦氏は、今回のオンライン開催について、
- 3密の解放:新型コロナウイルス感染リスクなし
- 距離からの解放:国内遠隔地/海外からも移動不要
- 時間からの解放:24時間・会期後(2021年1月15日まで)アクセス可能
といったメリットを掲げ、またデジタル化の世界的な進展にともない市場そのものも好調であることを踏まえ、「新型コロナを踏まえ、半導体産業のステージが1つ上がったとみている」と、その市場成長が今後も続いていくとの見方を示した。
なお、会期はオンラインカンファレンスが12月11日~18日まで(有料)、バーチャル展示会が12月14日~17日まで(無料)となっており、オンラインカンファレンスへの参加費用はSEMI会員の場合が3万円(税別)、一般が6万円(同)、学生が3000円(同)となっている。