東証の適時開示情報を基に経営権の異動を伴うM&A案件(グループ内再編を除く)について、ストライク(M&A Online)が集計したところ、2020年11月のIT・ソフトウエア業界のM&A発表件数は10件で、11月としては2008年以降の13年間では2019年(14件)、2017年(12件)、2018年(同)、2014年(11件)に次ぐ5番目となった。新型コロナウイルスの感染拡大が続いているが、M&A市場は堅調だった。
一方、取引金額は約33億円で、11月としては2008年以降の13年間では2009年、2019年、2015年、2011年、2017年に次ぐ6番目となった。11月は目立った大型の案件などがなく件数、金額ともに平均的な水準だった。
金額トップはじげんの12億5000万円
金額が最も多かったのは、じげんがメディア事業のベーシック(東京都千代田区)から比較メディア事業を取得することを決めた案件で、取得金額は12億5000万円。
じげんは求人・住まい・車などを中心にメディア事業を展開しているが、「フランチャイズ比較.net」の名称で展開するフランチャイズ比較サイトのほか、結婚相談所、家庭教師、留学エージェントに関する比較サイトを取得することで、事業領域を拡げる。
金額の2番目はIDホールディングスが、ソフト開発を手がけるウィズ・ホールディングス(東京都江東区)を子会社化することを決めた案件で、取得金額は10億9800万円。ウィズ・ホールディングスは持ち株会社で、システムデザイン(茨城県日立市)を中核子会社として交通、製造、医薬、公共、エネルギーなど幅広い分野でソフト開発の実績を積んできた。じげんは同社を傘下に収めることで顧客基盤や技術力を強化する。
金額の3番目はくふうカンパニーが、ファミリー向けデジタルコンテンツ事業を手がけるキッズスター(東京都渋谷区)の株式50%を取得し子会社化することを決めた案件で、取得金額は4億円。キッズスターは370万のファミリーが利用する社会体験アプリ「ごっこランド」を軸に、「キョロちゃんの宝さがし!」「お弁当を作ろう!」などの知育アプリを持つ。
11月のM&Aは、このほかに10億円未満が3件、金額非公表が4件あった。