TrendForceは12月7日、2020年第4四半期におけるファウンドリ企業の売上高ランキングトップ10を発表した。それによると、2020年第4四半期のファウンドリ市場における上位10社の売上高合計額は、前年同期比18%増の217億ドルを超えると予想される。
業界トップのTSMCは先端プロセスの強い需要が継続している。特に第4四半期は5nmプロセスに基づく売り上げが増加していることに加えて、16~45nmプロセスに対する需要も回復しており、その売上高は前年同期比21%増と、四半期売上高としては過去最高を記録することが予想されている。
業界2位のSamsung Electronicsは、スマートフォン向けSoCならびにHPC向け半導体需要の高まりに対応するためにEUVの展開を加速させることで、5nmプロセスの生産量を増やしている。さらに、4nmプロセスを採用したスマートフォン向けSoCの開発ならびに2.5Dパッケージング技術の採用などもあり、同四半期の売上高は同約25%増とTrendForceでは予測している。ただし、Samsungの売上高には、自社のシステムLSI事業の売上高も含まれるため、この成長率をそのまま鵜呑みにすることはできないことに注意が必要である。
これまで3位であったGLOBALFOUNDRIES(GF)を抜き去る形でUMCが3位に入るとTrendForceでは予想している。これは、200mmウェハがドライバIC、PMIC、RFフロントエンド、IoTコンポーネントのクライアントからの注文が殺到し、稼働率が最大状態となっていることもあり、200mmウェハの見積もり価格の引き上げを行った結果に加え、28nmプロセスの需要も高く、TrendForceでは、28nm以下のプロセスからの売上高について同60%増と予測。同四半期の売上高全体としても同13%増と予測している。 一方、4位に転落することとなる見通しのGFの売上高は同4%減と予測されている。ただし、5Gインフラストラクチャの構築による大量のRFチップ需要と、成熟した特別なプロセス技術で製造されるバイオメディカルセンサチップに対する需要の高まりによって一定レベルのウェハ生産能力を維持することが期待されている。
業界5位のSMICだが、2020年9月14日以降、Huaweiの子会社であるHiSiliconへのすべての出荷を停止した。HiSilicon以外の顧客は、同社先端となる14nmプロセスの活用が試作段階となっているところが多いため、少なくとも今後2~3四半期は14nmプロセスラインの稼働率は低いままとなると見られている。さらに、米国商務省がSMICをエンティティリストに追加するようなことが起きれば、同社は製造装置の調達が不可能になるだけではなく、中国外のクライアントが注文を取り下げる可能性もでてくる。こうした動きもあり、同社の2020年第4四半期の売上高は、前年同期比では15%増だが、前四半期比では11%減と予想されている。
なお、上位10社のうち、前年同期比で売上高を落としたのはGFのみ。同社は事業規模縮小の取り組みの一環として、既存ファブの生産能力を増やさず、一部の施設(IBMから買収したファブの一部)を売却するといった動きを見せている。