東京商工リサーチは12月9日、2020年上場企業「早期・希望退職」募集状況を公開した。2020年12月7日までに上場企業の早期・希望退職者募集が90社に達し、募集社数は、リーマン・ショック直後の2009年(191社)に次ぐ高水準に押し上がったという。
募集人数は、判明分で1万7,697人に達しており、2012年通年(1万7,705人)とほぼ並び、募集社数と同様、通年では2009年に次ぐ水準となることが確実になった。募集企業の業績は、直近の本決算での赤字が50社(構成比55.5%)に上っているという。
早期・希望退職者募集を開示した90社を業種別でみると、アパレル・繊維製品が17社(構成比18.8%)で最も多く、2割弱を占めた。これに、米中貿易摩擦と新型コロナの影響が大きい自動車関連が11社(同12.2%)、市況の悪化や拠点の集約を背景とした電気機器10社(同11.1%)、居酒屋チェーンの運営会社を中心に、感染防止で外出自粛の影響が長引く外食が7社(同7.7%)と続いている。
募集人数は、最多が日立金属の1030人(21/3期、22/3期)だった。これに、レオパレス21の1000人、コカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス900人、ファミリーマート800人(応募1025人)、半導体子会社で2年連続の実施となった東芝(770人)、複数の子会社で募集を行うシチズン時計(750人)が順に続いている。このほか、11月以降もセガサミーホールディングス(650人)、三菱自動車工業(550人)など、500人以上の募集が頻発した。
2021年に募集を開始する上場企業も既に9社が判明しており、募集人数は判明分で1950人に上る。業種は、自動車関連が3社で最多で、サービス業が2社と続く。サービス業は、近畿日本ツーリスト各社の親会社であるKNT-CTホールディングス、藤田観光のいずれも観光関連となっている。