RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の2020年度における国内市場規模は、2019年度に対して26.6%増の531億6000万円になり、2023年度には868億円に拡大するという。これは、矢野経済研究所が12月7日に発表したRPA市場に関する調査結果だ。

  • 国内RPA市場規模の推移と予測(矢野研究所調べ)

2019年度のRPA国内市場規模は、事業者売上高ベースで2018年度と比べて54.4%増の420億円であり、うちRPAツール製品は同45.5%増の48億円、RPA関連サービスは同55.6%増の372億円と同社は推計している。既に大手のユーザー企業でのRPA利用率は2019年度には高い水準に達していたが、RPA市場は引き続き急成長を遂げており、市場の勢いが続いていたという。

また、2020年度の同市場規模は、2019年度と比べて26.6%増の531億6000万円、うちRPAツール製品は同28.3%増の61億6000万円、RPA関連サービスが同26.3%増の470億円になると同社は予測している。2020年度も成長が続いているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でIT投資に抑制傾向が出ていることや、顧客との対面機会が激減するなどRPAツールベンダーの事業活動が制限を受けたことにより、前年度までの勢いはやや減速となる見通しとしている。

さらに、RPA市場の本来のポテンシャルは大きいが、多くのユーザー企業がRPAを使いこなせておらず、導入効果を十分に得られていないことが課題となっていると同社は指摘している。導入に成功した企業では、サーバ型RPAを全社的に導入したり、デスクトップ型RPAを現場部門が積極的に使用したりするなど、利用拡大を進めているとのこと。2020年度以降はRPAの利活用が定着し、導入企業内での利用拡大フェーズに入る見通しだというが、そのためには、より多くのユーザー企業がRPA導入の成功体験を実感することが重要となると同社はコメントしている。

一方、短中期的に見たところ、RPA市場にとっての好材料は多いと同社は見ている。その背景として、同社はまず、テレワークの利用増加で業務効率化に取り組む企業が増え、ペーパーレスやハンコレスによるデジタル化も進んでいることを挙げている。コロナ禍によって業績が悪化した企業では省人化とコスト削減ニーズが高まっており、また需要が増加して業務量が増えた企業でも従来通りの人員体制で迅速に処理を進めるために、それぞれRPAの利用が有効だという。さらに、導入が遅れていた中堅中小企業や地方自治体などでのRPA導入も進んでいく見通しとしている。

同社は2021年度以降も中期的に成長は継続すると見ており、2023年度のRPA市場規模は事業者売上高ベースで868億円、うちRPAツール製品は108億円、RPA関連サービスが760億円まで拡大するとのことだ。