ipsaceと同社子会社のispace Europeは12月4日、米国航空宇宙局(NASA)による、月面で採取した月のレゴリス(砂)の販売に関する商取引プログラムに採択されたことを発表した。

具体的には、ispaceが、2022年に月面着陸をめざすMission 1で開発するランダー(月着陸船)を使用して、月のレゴリスを採取すること、また、ispace Europeと連携し、2023年に月面探査をめざすMission 2で使用するローバー(月面探査車)を使用して、レゴリスを採取すること、といった2つの計画が月資源に関するNASAの2つの商取引プログラムに採択されたという。

Mission 1とMission 2は、HAKUTO-Rプログラムとして実行されるが、今回の取り組みについて同社では、世界初の月資源の採取に関する商取引であり、国際的な宇宙資源の商取引の最初の一歩になると考えているとコメント。日本なども参加する有人宇宙探査アルテミス計画のパートナーシップの加速にもつながることが期待されるとするほか、宇宙資源への関心の高まりによる政府と民間による月探査への投資の活発化にもつながることが期待されるとしている。

なお、宇宙資源の商取引については、すでにルクセンブルクでは、2017年に宇宙資源の探査と利用に関する法律が施行され、私企業によるレゴリスの採取およびレゴリスの所有権の譲渡が認められるなど、世界各国でさまざまな立法措置や取り組みが行われている段階にあり、日本では、商業的な月面探査は人工衛星などの打ち上げおよび人工衛星の管理に関する法律の下で内閣府の許可に基づき行われることになるという。また、宇宙資源法案に関する議論が政府与党内で進んでおり、2020年11月には、月や火星などで採取した宇宙資源の所有権を民間事業者に認める宇宙資源法案が関係各党で了承され、議員立法として国会への提出を目指す動きもあり、同社では、今回のNASAによる月資源の商取引プログラムへの採択によって、日本の宇宙資源政策がさらに進展することを期待するとしている。