世界半導体市場統計(WSTS)は12月1日、2020年秋季半導体市場予測を発表し、2020年の世界の半導体市場について前年比5.1%増、2021年の半導体市場を同8.1%増との予測を公表した。前回予測の6月に発表した2020年春季予測では、それぞれ同3.3%増、同6.2%増としていたので、いずれも上方修正したことになる。
2019年の半導体市場は、米中貿易摩擦などの地政学的リスクが世界の経済成長を失速させ、半導体市場も同12.0%減と大きな影響を受けた。2020年も新型コロナウイルスの感染拡大というマイナス面がある一方で、新たなライフスタイルに伴う電子機器に対する需要の増加などにより同5.1%増とプラス成長が予測された。
また、2021年は新型コロナからの景気回復を前提に、5Gの普及や自動車産業の回復が追い風となり、同8.4%増の4694億ドルと過去最高額を更新する予測となっている。
世界の地域・国別半導体市場の推移を見ると、2020年は全体4331億ドルのうち62%を日本を除くアジア・太平洋地域(主に中国)が消費する見通しとなっている。また、アジア・太平洋地域と米州のみがプラス成長を達成する見込みで(米州は前年比18.7%増の933億4300万ドル)、日本は同0.6%減(円ベースでは同2.1%減)と若干のマイナス成長となる見込みとなっている。
また、半導体の製品カテゴリ別に市場の推移をみると、ディスクリート半導体が同1.2%減の236億ドル、オプトエレクトロニクスが同2.6%減の405億ドル、センサが同7.4%増の145億ドル、IC全体が同6.4%増の3546億ドルという予測となっている。
さらに、ICの製品カテゴリ別市場推移をみると、メモリが同12.2%増の1194億ドル、ロジックが同6.5%増の1134億ドル、マイクロ(MCUやMPUなど)が同2.0%増の677億ドル、アナログが同0%増の540億ドルという予測となっている。
なお、WSTS日本協議会は、日本半導体市場(半導体メーカーの国籍や生産工場の所在地によらず半導体メーカーが日本国内の第3者に販売した金額の総額を示し、その後の販売先は不問)の動向についても発表している。それによると2019年の円ベースでの日本の半導体市場は、前年比11.2%減の約3兆9187億円、2020年は同2.1%減の約3兆8345億円と2年連続のマイナス成長となっている。ただし、2021年は同4.8%増の約4兆174億円とプラス成長に転じるものと予測している。