シリコンウェハ市場シェア3位のGlobalWafers(環球晶円)は、同4位の独Siltronicを買収することで最終調整に入ったことを明らかにした。

GlobalWafersはSiltronicに対して株式公開買い付け(TOB)を実施したうえで、来週にも正式に買収を発表する計画だという。買収額は約45億ドル(約4700億円)になる見込み。

2019年のシリコンウェハ市場における各社のシェアは、以下の通り(楽天証券調べ)。

  • 信越半導体(日本):32%
  • SUMCO(日本):25%
  • GlobalWafers(台湾):17%
  • Siltronic(ドイツ):13%
  • SK Siltron(韓国):12%

GlobalWafersがSiltronicを買収に成功すると、そのシェアは単純計算で30%となり、2位のSUMCOを抜き、トップの信越半導体に肉薄する2位へと躍り出ることになる。シリコンウェハ市場は、これまで1位と2位を日本勢が占めていたが、今回の買収で変化が生じる可能性がでてきたといえる。

Sino-American Silicon Productsの子会社であるGlobalWafersは世界6位だった2016年当時、世界4位のSunEdison Semiconductor(元はモンサントグループのシリコンウェハサプライヤであるMEMC)を6億8300万ドルで買収し業界3位にのし上がった経緯がある。それ以前にも、2012年にコバレントマテリアル(旧東芝セラミックスのシリコンウェハ事業部門)を買収し、現在も日本のシリコン結晶製造工場をGlobalWafers Japanとして運営している。GlobalWafersの2019年12月期の売上高は580億NTドル(約2100億円)であった。

GlobalWafersは台湾、韓国、日本、イタリア、マレーシア、米国など9か国に15の生産工場を所有しており、文字通りグローバル展開している。一方、Siltronicはドイツ、シンガポール、米国に4つの工場を運営している。同社は、かつて日本(山口県光市)にも新日本製鉄(当時)との合弁シリコンウェハ製造会社ニッテツ電子(のちにSiltronic Japan)を運営していたが業績不振で2012年に日本から撤退している。

もし今回の買収が成立すれば、今後のシリコンウェハ業界は、日台勢で9割近いシェアを握ることとなる。結果として、トップ争いから取り残されることとなるSK Siltronは、2019年秋にDuPontからSiCウェハ事業を買収するなど、シリコン以外への活路を見出す可能性が考えられる。