NTT東日本とNTT西日本は11月27日、都内で記者説明会を開き、家庭の固定電話を利用するユーザー向けに「特殊詐欺対策サービスおよび通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)」を同30日から提供すると発表した。

  • 通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)の外観

    通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)の外観

昨今、特殊詐欺に対して、さまざまな対策が講じられているが、手口は巧妙化・複雑化しており、認知件数・被害額も依然として高い水準で推移しているほか、金銭的な被害に加え、人命にかかわる事件も発生したことなどにより、電話に出ることに対して不安を感じられる状況が生じているとの声も寄せられているという。

こうした状況を受け、できるだけ安心して電話を利用してもらえるよう、NTTグループでは昨年5月から「特殊詐欺AIを用いた実証実験」を実施。実証実験を通じて得られた知見や参加した自治体、ユーザーの意見・要望を踏まえてサービスおよび通話録音機能付き端末の開発を進めてきた。

NTT東日本 ビジネス開発本部 部門長の一ノ瀬勝美氏は「新サービスを提供するにあたり、実証実験に協力してもらったユーザー、自治体、警察機関などから寄せられたさまざまな意見により、機能改善をはかることができた。また、特殊詐欺対策だけではなく、地域の安全・安心な暮らしを守るため意見・要望をヒアリングしており、当社としては電話サービスをはじめとした情報通信サービスの担い手として、高齢者の見守りなど地域の安全に貢献するサービスを今後も提供していく。コロナ禍において依然として特殊詐欺の被害はおさまっていないことから、新サービスの提供で特殊詐欺犯罪が抑制されることを期待している」と力を込めた。

  • NTT東日本 ビジネス開発本部 部門長の一ノ瀬勝美氏

    NTT東日本 ビジネス開発本部 部門長の一ノ瀬勝美氏

続いて、NTT西日本 ビジネスデザイン部 担当部長の辰巳和彦氏は「西日本エリアにおいても、いまだに特殊詐欺などの被害は多く発生しており、これらを受けて当社としても安心・安全に電話を利用してもらいたいという思いから、開発を進めてきた。新サービスは特殊詐欺被害の抑止に向けた取り組みの一助になればと考えている」とコメントした。

  • NTT西日本 ビジネスデザイン部 担当部長の辰巳和彦氏

    NTT西日本 ビジネスデザイン部 担当部長の辰巳和彦氏

新サービスは、両社が提供する住宅用電話サービスとセットで契約することで、通話録音機能付き端末から録音した通話内容をクラウド上に転送し、特殊詐欺解析AIが通話内容を解析。特殊詐欺であると疑われるなどの場合には、契約者本人や親族など、あらかじめ登録した人に注意喚起の電話やメールを送信することで詐欺の危険性を察知することを可能としている。

  • サービスの概要

    サービスの概要

以下は、詐欺と思わしき電話に対する防犯機能の動画だ。

また、しつこい勧誘の電話や迷惑電話は番号を通話録音機能付き端末に登録することができ(拒否リスト機能)、家族や友人の電話番をあらかじめ通話録音機能付き端末に登録することで当該電話番号との電話は録音、解析の対象外となり、安心して通話(許可リスト機能)できる。

利用可能なサービスは(1)加入電話/加入電話ライト(住宅用)、(2)INSネット64/INSネット64ライト、(3)ひかり電話/ひかり電話A(エース)、価格は、いずれも税込で初期費用が工事担当者訪問の場合で8800円、自身で設置する場合が4400円、月額利用料が440円、サポート体制は専用サービスサポートセンタで利用や設定方法など、サービスに関する問い合わせに対応する。今後、両社で1万契約の加入者数を見込んでいる。