茨城県境町は11月26日、ソフトバンクの子会社であるBOLDLY(ボードリー)、マクニカの協力の下、自動運転バス「NAVYA ARMA(ナビヤ アルマ)」(仏Navya製)を3台導入し、生活路線バスとして定時・定路線での運行を開始した。なお、自治体が自動運転バスを公道で実用化するのは、国内で初(乗車定員11人以上の車両が一般人の移動手段として期間を限定せずに大半の区間を自動で走行するのは初)だという。
境町は、多目的ホールや集会室、テニスコートなどを備えた「境シンパシーホールNA・KA・MA(境町勤労青少年ホーム)」と、同町の地域活性化の活動拠点である「河岸の駅さかい」をつなぐ往復約5kmのルートでNAVYA ARMAを運行する。
境シンパシーホール NA・KA・MAまたは河岸の駅さかいから無料で乗車することが可能で(乗客の定員は9人)、当初は3台のうち1台で、平日の午前10時~午後3時30分まで8便を運行するほか、便数やルートは今後住民の要望に合わせて順次拡大し、スーパーマーケットや医療施設、小学校などの生活に密接に関連する施設にもバス停を設置し、利便性を高めていく予定だという。
BOLDLYは、自動運転バスの運行業務を行うとともに、複数の自動運転車両の運行を遠隔地から同時に管理・監視できる自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」で、自動運転バスの運行を管理し、同プラットフォームは自動運転バスの状態監視や緊急時の対応、走行前の車両点検、走行指示機能などを備え、安全な運行管理に活用することを可能としている。
また、BOLDLYはルートの選定・設定や3Dマップデータの収集、障害物検知センサや自動運転車両の設定など、走行までに必要な作業を実施。マクニカは、仏Navyaの国内総代理店として、同町にNAVYA ARMAを3台提供した。さらに、自動運転テクノロジーの知見をベースに、技術サービス・ソリューションプロバイダーとして車両・システムのメンテナンスを行うなど、技術面を中心に同町での自動運転バスの安全・安定運行を全面的に支援する。
同町は、これまで人口減少や高齢化に伴う活力の低下、交通網の脆弱性などの構造的な課題を抱えていたが、境古河バスターミナルから成田空港への直通バスなど、圏央道を活用した公共交通網の整備やスポーツ、観光、福祉、住居施設などの拠点整備を積極的に推進した結果、人口減少に歯止めがかかりつつあり、これらの拠点を中心として町内の回遊性の向上を図り、さらなる人口の増加、ひいては地域活性化を促進するため、NAVYA ARMAを導入した。
さらに、NAVYA ARMAは国土交通省が推進するグリーンスローモビリティに該当し、環境への負荷を抑えて、ゆっくりと高頻度で運行することにより、住民の生活の足として役立つとともに、交通の流れが低速になり、安全性の向上が期待されているという。