JALと理研は11月26日、スーパーコンピュータ「富岳」を活用した航空機内における新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する研究の結果を発表した。

今回、機内の空気循環システムの効果検証と、その効果を踏まえた機内における飛沫の予測を行った結果、機内の空気の清潔性とマスク着用の重要性を確認したという。

機内空気循環システムの効果については、 仮想的にウイルス飛沫で汚染された空気を機内に満たし、エアコン換気でどのように浄化されていくかを評価した。その結果、外気換気のほか、循環空気についても高性能空気フィルターによりウイルス除去され、3分程度で機内の空気は浄化されることが確認できたとしている。

  • 仮想的にウイルス飛沫で汚染された空気(赤)、換気により3分後に浄化された状態(青)

マスク着用有無による飛沫については、機内でマスクを着用せずに咳をした場合、10ミクロンより大きい飛沫は咳をした人の前方1m以内に落下し、10ミクロン以下の小さい飛沫はエアコンの風に乗って空中を漂うが、機内の空気循環システムにより3分程度で客室内から排除されることがわかったという。

また、飛沫の拡散は着席姿勢によって影響を受け、通常の姿勢では前列シートの背もたれがパーティションのような役割をすることで、大きい飛沫の拡散を抑えているとのことだ。小さい飛沫は、リクライニング姿勢の場合、通常姿勢の場合よりも広範囲に拡散するとしている。

具体的には、通常姿勢の場合、飛沫は前後1列程度、左右4列程度まで拡散し、リクライニングの場合、飛沫は前後2列程度、左右4席程度まで拡散するという。

加えて、マスクを着用することで、発生する飛沫を3分の1まで抑え、機内に拡散する飛沫を大幅に抑えられることが確認できたという。

  • リクライニング姿勢時におけるマスク着用有無の比較。左から、マスクを着用せずに咳をした場合、マスクを着用して咳をした場合