半導体市場動向調査会社であるTrendForceは、2020年第3四半期(7~9月期)の自社ブランド半導体サプライヤの売上高ランキングを発表した。
同社の調査によると、Huaweiへのハイテク製品の出荷を禁止した米国の制裁措置の発効日である9月15日以前の段階ではDRAMサプライヤのビット出荷数量は、Huaweiの在庫積み増しもあり予想を上回った。一方、DRAMの販売価格は下落したという。
第4四半期もサーバDRAM在庫の調整が続くか?
2020年第4四半期に目をやると、PC DRAM、モバイルDRAM、グラフィックスDRAMを含むほとんどのアプリケーションセグメントの需要は健全なレベルで推移する見込みである。ただし、 サーバDRAMセグメントは例外で、顧客は依然として過剰在庫の削減に重点を置いており、その結果、DRAM製品の平均販売価格全体に下向きの圧力をかけ続る状況となっており、ビット出荷数量は増加する一方で価格の低下が進むため、同四半期のDRAM総売上高は、2010年第3四半期とおおむね同等になるとTrendForceは予想している。
韓国勢がマイナス成長になる中でMicronが躍進
2020年第3四半期、主要なDRAMサプライヤ3社(Samsung Electronics、SK Hynix、Micron Technology)はいずれもビット出荷数量の増加と平均販売価格の下落を経験した。
中でもSamsungとSK Hynixはビット出荷数量の増加がわずかだったため、平均販売価格の下落を補うことができず、売上高がわずかながら減少した。具体的には、Samsungの第3四半期のDRAM売上高は前四半期比3.1%減、SK HynixのDRAM売上高は同4.4%減となった。一方のMicronはビット出荷数量を同約25%増とした結果、DRAM売上高は同21.9%増となり、市場シェアを前四半期の21%から4ポイント増となる25%に上昇させることに成功した。ただし、同社会計年度の次の四半期は当該週数が前四半期の14週から13週に減るほか、販売価格も下落し続けているため、売上高と営業利益に影響がでることが想定され、結果として、同社の第4四半期の市場シェアは再び20%程度に戻る見込みだという。
第3四半期の収益性に関しては、いずれのサプライヤも価格下落の影響を受けた(ただし、サプライヤの製品構成や決算日が異なるため、営業利益の計算には不一致がある)。例えば、Samsungの営業利益率は、コスト最適化の取り組みが平均販売価格の低下を補ったため41%と高い水準を維持したが、SK Hynixの営業利益率は、サーバDRAMの構成比率を高くしていたことから、前四半期の35%から6ポイント減の29%へと低下した。また、Micronは、Samsung、SK Hynixと比べて、平均販売価格の下落幅が小さく、かつビット出荷数量の増加などの恩恵を受けたこともあり、営業利益率は前四半期の21%から4ポイント増の25%となった。
台湾勢のDRAMシェアは5.5%
台湾を拠点とするDRAMサプライヤに目を向けると、他社が売り上げを落とす中、Winbondのみ、DRAMとフラッシュメモリの両方で利益を上げた。Huaweiの積極的な在庫積み増しの恩恵を受けたためで、売上高は前四半期比11.3%増となった。