矢野経済研究所は11月24日、国内の電子契約サービス市場について、市場概況やサービス参入企業の動向、普及動向、将来展望を発表した。同調査は、国内電子契約サービス関連事業者などを対象に2020年8月~10月の期間で実施したもの。調査方法は、同社専門研究員による直接面談、電話と電子メールによるヒアリング調査を併用。

同調査によると、2019年の国内電子契約サービス市場規模は、事業者売上高ベースで前年比74.4%増の68億円と推計、2020年は、事業者売上高ベースで前年比58.8%増の108億円に達するという。

  • 電子契約サービス市場規模推移・予測(矢野経済研究所調査)

同社は、2020年5月に法務省が取締役の議事録作成に必要な取締役と監査役の承認について、クラウドを活用した電子署名が会社法上も有効であることを経済界に周知したことに加え、同年6月に内閣府や法務省、経済産業省が契約書への押印不要の見解を示したことなども電子契約サービス普及の追い風になっていると、考えを示した。

また同社は、電子契約サービスの導入は、部門・部署をまたいだ横断的なプロセスや、社内規程、契約文言の見直し、また相手方に理解を求める必要もあることなどから、2020年は情報収集や導入に向けた準備期間と考えられ、2021年の同市場はさらに伸長し、前年比62.0%増の175億円に達するとの見通しを示した。

さらに、電子契約サービス市場は、まだ電子化されていないホワイトスペースが多いこと、導入形態が部門導入から全社導入に移りつつあることなども市場の成長を後押しする要因と考えられ、同市場は2017年から2024年までのCAGR(年平均成長率)が37.8%と順調に拡大し、2024年には264億円に達するという。