塩尻市振興公社と長野県塩尻市、アルピコホールディングス、アイサンテクノロジー、ティアフォー、損害保険ジャパン、KDDIは11月18日、埼玉工業大学と連携し、塩尻市内の一般公道におけるバス型自動運転車両を用いた走行実証実験「塩尻型次世代モビリティサービス実証プロジェクト」を行うと発表した。同プロジェクトは、長野県内で初の取り組みとなる「市街地の一般公道における高精度3次元地図を用いたバス型自動運転車両の走行実証実験」を通じて、塩尻市の課題解決と自動運転技術の向上についてデータの取得、自動運転車両に対する社会受容性の向上を図ることを目的としている。

  • 実証実験車両 (埼玉工業大学所有)

    実証実験車両 (埼玉工業大学所有)

塩尻市は、2つの駅を中心にそれぞれ形成された市街地とその周辺に点在する農山村地域からなるコンパクトな田園都市であり、コミュニティバスを中心とした地域公共交通が運用されているが、ドライバーの担い手不足や、バスの運行経路やスケジュールが移動ニーズを満たさないなどの課題解決を行うことが必要となっている。

各者は2020年1月に同市を中心とした自動運転技術実用化に向けた包括連携協定を締結し、市内での自動運転実証実験を進める準備を進めており、同プロジェクトと連携し、実用的で利便性の高い公共交通の提供に向けて実証実験を行うことで、Level4(国土交通省の自動運転のレベル分け、Level4は特定条件下における完全自動運転)実用化の加速を目指す。

プロジェクトの期間は11月24日~11月27日まで、時間は10時~16時まで(11月24日のみ13時から)と10時~15時(除く12時)の毎時00分に発車し、発着場所は塩尻駅東口(塩尻駅前交番付近、乗車時間約25分 約4.9km)となり、実験車両は自動運転ソフトウェア「Autoware」と事前に作成した高精度3次元地図をベースに自己位置推定、障害物認識などの機能を実装した実証実験車両が走行する。

走行経路は塩尻駅東口ロータリー(出発地点)→塩尻市役所→中央スポーツ公園→塩尻市新体育館建設地→塩尻駅西側→大門商店街→塩尻市役所→塩尻駅 東口ロータリー(到着地点)。なお、乗降可能な地点は発着地点の塩尻駅東口ロータリーのみで、経路途中での乗降車はできないという。

試乗に関しては、当日の先着順で乗車可能で、座席に空きがあれば直近の回での乗車を案内するが、新型コロナウイルス感染拡大対策のため座席数を減らしての運行となり、満席などの理由で次回以降の乗車案内または当日の乗車を控えてもらう場合がある。

なお、各社の役割として塩尻市振興公社が全体総括を、塩尻市は地域内調整を、アルピコホールディングスはドライバー添乗による意見協力・運行面での助言を、アイサンテクノロジーは自動運転実証実験総括、高精度3次元地図を、ティアフォーは自動運転システムの技術支援を、損害保険ジャパンは自動運転リスクアセスメント(リスク評価と対策策定)を、KDDIは4G LTE通信提供および測定、5G基地局設置検討を、埼玉工業大学は自動運転車両提供などをそれぞれ担う。