Analog Devices(ADI)の日本法人であるアナログ・デバイセズは11月13日、11月1日付けで新社長に就任した中村勝史氏の就任記者会見を実施、今後に向けた事業方針の説明などが行われた。
中村氏の略歴は以下の通り。
- カーネギーメロン大学にて電子・コンピューター工学の博士号を取得後、1994年にADIに入社
- 入社後は組み込みアプリケーション用CMOSデータ・コンバータの初期技術開発に従事
- 1996年からデジタル画像処理用途における製品ラインの発足に伴い、開発リーダーを務める
- 民生製品向け技術の開発に長く携わってきたことから2011年よりコンバータ事業本部のコンシューマ領域プロダクトラインディレクターを務めた。その際に現会長の馬渡修氏(前社長)より日本の技術アドバイザーを依頼され、兼務
- 2015年より、医療およびコンシューマビジネス本部のCTOとして技術戦略を主導
- 2019年にデジタル画像分野への貢献からIEEEフェローに任命
- 2019年11月より日本法人に移籍。産業・医療・通信セールス本部を統括
- 2020年11月1日付で日本法人社長に就任
会見ではADIの売り上げについて触れ、2020会計年度(2019年11月~2020年10月)の第1四半期は13億ドル(前年同期比15%減)、第2四半期は同14%減の13.2億ドル、第3四半期は同2%減の14.6億ドルとなっており、新型コロナウイルスの流行によるロックダウンの影響や車の出荷台数が減った事での車載製品への影響などで第1~第2四半期は苦戦していたが、第3四半期では持ち直してきたとした。
持ち直した理由として、コロナ禍のステイホームの影響でコンシューマ領域の売り上げが伸びたのと通信データ量が大きくなったため、通信の分野での需要伸びがあったとしている。
また、コロナ禍に際して同社は、医療機器や人工呼吸器に必要な機器に関しては優先的に生産するなど社会貢献の意識も大きかったとした。
日本法人の今後について同氏は、5G、産業、オートモーティブ、ヘルスケアの4市場に注力していくとしている。2021年の夏には、買収発表をおこなったMaximとの統合も控えているが、アナログ技術者の数を増やす事でクライアントへのサポートを盤石にする狙いがあるとする。
また、アナログ・デバイセズをどのような会社にしていきたいかという質問に対しては「アナログ・デバイセズは技術が売りの会社で、最先端の技術をいかに早くお客様に届けるというのが重要である。昨今では、求められる技術の開発ぺースが早くなってきており、10年かかっていたのを2年でやらなくてはいけない。このペースについていくためには、技術のサポートレベルを上げていかなくてはならないと思っている。高いレベルの技術をお客様に届けるにはサポートがやはり重要だと考えている。今までもそういうやり方だったが、一層レベルを上げて磨き上げていきたい。くわえて、そこにスケールを持たせていきたい」と抱負を語っており、今後、これまで以上にサポートを強化していくことを強調していた。