震度とマグニチュード。どちらもよく聞く言葉ではありますが、その違いを説明できますか? それらが「地震の大きさを示す単位」であるとはということはなんとなく知っていても、その違いについて詳しく理解できている方はそう多くないことでしょう。
本記事では、震度とマグニチュードの違い、およびそれぞれの詳しい意味を紹介します。日本のような地震大国で暮らす以上、これらの言葉の意味を知っておくに越したことはありません。それぞれの言葉の意味を理解して、地震が起きた時に的確な情報収集ができるようにしましょう。
震度とマグニチュードの違いとは?
震度とは測定地点での揺れの大きさを表します。一方のマグニチュードとは、地震自体の規模の大きさを表すものです。例えば「A県北部では震度3、A県南部では震度4、マグニチュードは5.6」といったように、震度は測定地点ごとの値、マグニチュードは1つの値となります。
震度とマグニチュードはまったく別の単位です。ここからはそれぞれの単位の意味と違いについて詳しく説明していきます。
震度とはどういう意味?
震度とは、測定地点における揺れの大きさを表す単位です。例えば、ある1回の地震に対して、北海道で震度4でも、青森県では震度3、岩手県では震度2といったように、各地点によって震度は異なります。
日本の気象庁では、震度の数値を1~7までの10階級(震度0、震度1、震度2、震度3、震度4、震度5弱、震度5強、震度6弱、震度6強、震度7)で分けています。これは各地に設置された震度計で測定され発表されます。この震度の階級は日本独自のもので世界では別の単位を使っていますが、マグニチュードに関しては世界共通の単位です。
震度の表し方と感じ方
震度ごとの体感や起こりうる状況の例をご紹介します。
震度階級 | 人の体感・行動 | 屋内の状況 | 屋外の状況 |
---|---|---|---|
0 | 人は揺れを感じないが、地震計には記録される。 | ||
1 | 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。 | ||
2 | 屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 | 電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。 | |
3 | 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。 | 棚にある食器類が音を立てることがある。 | 電線が少し揺れる。 |
4 | ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 | 電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。 | 電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。 |
5弱 | 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 | 電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 | まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。 |
5強 | 大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 | 棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。 | 窓ガラスが割れて落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある。 |
6弱 | 立っていることが困難になる。 | 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。 |
6強 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 | 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。 |
7 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 | 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。補強されているブロック塀も破損するものがある。 |
参照 : 気象庁 震度階級関連解説表
マグニチュードとはどういう意味?
マグニチュードとは、地震のエネルギーの規模を数字で表す単位です。マグニチュード5なら「M5」と表記されます。測定計がある地域ごとに数値を測る「震度」とは異なり、1回の地震に対してマグニチュードは1つの値しか示しません。
震源地から離れれば離れるほど震度は弱まるため、マグニチュードがいくら大きくても震度が大きくなるとは限りません。
マグニチュードの値が1大きくなると、エネルギーは32倍になります。例えば、M6の地震1つでM5の地震約32個分、M7の地震1つでM5の地震約1000個分のエネルギーに匹敵します。
マグニチュードと地震の規模
下記はマグニチュードと地震の規模の関係一覧です。
- M1以下 : 極微小地震
- M1~3 : 微小地震
- M3~5 : 小地震
- M5~7 : 中地震
- M7以上 : 大地震
- M8クラス : 巨大地震
数字を見てもイメージはしづらいかもしれませんが、過去の日本の例だと2011年東日本大震災はM9.0と記録されています。
過去に起きた大規模な地震
これまで過去には世界中で歴史に残るほどの大きな地震が起こっています。その度にたくさんの人たちが被害に遭い、悲しい思いもしてきました。震度7以上を観測した地震が、日本でも過去からこれまでに数回記録されています。
日本で起きた震度7以上の地震
1949年に気象庁が「震度7」の震度階級を設定してから、日本国内では震度7以上の地震が6回計測されています。
1回目は1995年に起きた「兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)」です。この地震が震度7の震度階級を設定した後に起きた初めての大規模地震でした。以下、令和元年9月1日までの間に計測された震度7以上の地震を紹介します。
- 1回目 : 1995年「兵庫県南部地震」兵庫県神戸市、淡路島北部(計測震度未導入)
- 2回目 : 2004年「新潟県中越地震」新潟県川口町※現・新潟県長岡市(計測震度6.5)
- 3回目 : 2011年「東北地方太平洋沖地震」宮城県栗原市(計測震度6.6)
- 4回目 : 2016年「熊本地震(前震)」熊本県益城町(計測震度6.6)
- 5回目 : 2016年「熊本地震(本震)」熊本県益城町(計測震度6.7)、熊本県西原村(計測震度6.6)
- 6回目 : 2018年「北海道胆振東部地震」厚真町鹿沼(計測震度6.5)
※震度7の基準は計測震度が6.5以上であること
世界で起きたM8以上の地震
次に、世界で起きたM8以上の地震を5つ紹介します。
- M9.5 : チリ(1960年5月23日)
- M9.2 : アラスカ湾(1964年3月28日)
- M9.1 : インドネシア - スマトラ島北部西方沖(2004年12月26日)
- M9.0 : 日本 - 三陸沖(2011年3月11日)
- M9.0 : カムチャッカ半島(1952年11月5日)
- M8.8 : チリ-マウリ沖(2010年2月27日)
震度とマグニチュード、どちらが重要?
地震が起きた際に、震度とマグニチュードどちらを気にした方がいいのか? と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。どちらも気にするべきではありますが、自分の生活に直結して重要なのは「震度」の方でしょう。
マグニチュードが、高くてもお住まいの地域が震源地と離れていたら、揺れは感じません。しかし、震度が大きい地震が近くで起きた場合、かなり揺れる危険性があります。お住まいの地域の震度を確認して、冷静に避難するなど災害に備えてください。
なぜ震度とマグニチュードを使い分けるのか
震度とマグニチュードはまったく意味の違う2つの数値なので、使い分けが必要です。確かに危険を知るために、震度だけ発表すればマグニチュードの情報は必要ないかもしれません。
しかし、マグニチュードは地震のエネルギーの大きさを表す単位なので、どの規模の地震だったかは知る必要があります。大きめのマグニチュードで震源地が近い場合は、震度も高くなることが予想できます。やはり地震の際にはこの2つの単位両方の確認が必要でしょう。
震度は計測した地点における揺れの大きさで、マグニチュードは地震そのもののエネルギーを示す単位です。地震発生時のこの2つの単位を見ることで、津波やその他自然災害も予想できるため、ニュースでは双方に注意を向けましょう。ただし、自分の住んでいる地域に非常に近い地震が発生の際には、特に「震度」を確認して冷静に次の行動を判断してください。