Samsung Electronicsは11月12日、中国上海で開催した自社ブランドのスマートフォン(スマホ)用アプリケーションプロセッサ「Exynos」の新製品発表会において、同社最先端プロセスとなる5nm EUV FinFETプロセスを採用したSoC「Samsung Exynos 1080」を発表した。
Exynos 1080は、CPUにArm Cortex-A78(2.8GHz)×1+Arm Cortex-A78(2.6GHz)×3+Arm Cortex-A55(2.0GHz)×4のオクタコア構成を、GPUにArm Mali-G78 MP10をそれぞれ採用しているほか、カメラは最大2億画素に対応。メモリ関連も、LPDDR5に対応するほか、内蔵ストレージもUFS 3.1対応、そして5G通信はモデム内蔵でSub-6GHz帯とミリ波に対応している。
同SoCは、Galaxyブランドのみならず、前世代品である「Exynos 980」と同様、中国のスマホサプライヤvivoが2021年春に発表予定の製品にも搭載される見込みで、vivoが採用するモデルナンバーとしては「vivo X50シリーズ」あるいは「vivo X60シリーズ」となると噂されている。
なお、Samsungは、Exynos 1080よりも上位にあたる5nm SoC「Exynos 2000シリーズ」を開発中で、こちらは2021年に発売される「Galaxy S21シリーズ」に搭載される可能性が高く、Exynos 1080自体はミドルレンジスマホ向けと位置付けられる見込みだという。
Samsungが、Exynos 1080の発表を本社のある韓国ではなく中国としたのは、Huaweiを除く中国の中堅スマホサプライヤ各社に拡販することを狙っているためだと考えられる。Samsungは、受け身の受託生産だけではシステムLSI事業を伸ばすことができないばかりか、新製品の自社消費を優先していては顧客離れが生じてしまうという危機感から、積極的な外販を目指す方向性に舵を切る必要がある。
ロジック半導体の微細化競争で、SamsungやIntelはEUVを多用した5nmプロセス(Intelはトランジスタ密度で他社の5nm相当が7nmプロセスとなっている)の歩留まりが低く、量産体制が敷けていないと各地のメディアが報じているが、Samsungに関しては、vivoのスマホが2021年に予定通り発売されるかどうかが試金石となるだろう。