独自のエッジ向けAIアクセラレータを手掛けるBlaizeは11月5日、エヌエスアイテクスとの間に日本の正規販売代理店契約を締結したことを発表した。

さまざまな分野でAIの活用が進む現代、エッジでAIを活用したいというニーズは日増しに高まる一方、組込機器や産業機器といった分野ではいまだに旧態依然のソリューションも多く残っており、活用したいシーン次第では、AIを実際に活用するためのハードルが高くなる場合がある。

また、そうしたシーンでは、電力や熱に対する制限、レイテンシやコストに対する低減要求などもあるほか、現場にAIに精通した人材がいない、と言った課題などもある。

Blaizeは、そうした現場のニーズに対応することを目的としたAIエッジコンピューティングプラットフォームの開発を進めてきたベンチャーで、その核となるのが「グラフ・ストリーミング・プロセッサ(GSP:Graph Streaming Processor)」と呼ぶコアを搭載した独自SoCである。

GSPコアは、エッジAIアプリのために設計されたGraph-nativeプロセッサで、SoCには16個のGSPコアを搭載し、7W動作で16TOPSの推論性能を提供する。また、CPUならびにGPU比でシステム効率は最大60倍、メモリ帯域幅は最大50分の1、レイテンシも10分の1に低減できるという。

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  • GSPコアの概要

SoCだけでは実際の利用が難しいことから、同社ではGSPを搭載した組み込みシステム・オン・モジュール(SOM)「PATHFINDER P1600」ならびにPCIe 3.0対応のアクセラレータプラットフォーム「XPLORERシリーズ」として「Enterprise & Datacenter Storage Form Factor(EDSFF)」モデルの「Xplorer X1600E EDSFF」とPCIe HHHLモデルの「Xplorer X1600P PCIe」も用意。

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  • 組み込みSOM「PATHFINDER P1600」とアクセラレータプラットフォーム「XPLORERシリーズ」の概要

さらに、開発ツールも、コマンドライン・インタフェース環境の「Picasso SDK」に加え、非プログラマでもAIアプリの開発を可能とするグラフィカル/会話型の開発ツール「AI Studio」も用意しており、こうしたツールを活用することで、開発時間の短縮が可能になるとしている。

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    開発ツールまでトータルに提供することで、エッジでの活用を促進することを目指しているとする

すでにさまざまな産業分野でPoCによる実証実験が進められているとのことだが、同社としてはスマートビジョン(コンピュータビジョン/マシンビジョン)を最初のターゲット市場の1つとしているという。日本においては、産業分野もさることながら、自動車関連も視野にないっており、国内外の自動車OEMやティア1とも連携しているという。

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    Blaizeの自動車関連ソリューションの例

実際の自律走行システムでの活用も検討されており、NVIDIAのXavier GPUと比べた場合、電力あたりの性能比をさらにコスト比として比較した場合、システム効率が15倍向上するというほか、消費電力は5分の1となるとしている。