アクセンチュアと東京女子医科大学は11月5日、腎移植後のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上に向けて、腎移植治療における人工知能(AI)利用の可能性について共同研究を開始すると発表した。
同共同研究では、AIを使用してドナーと腎臓移植希望者(レシピエント)の腎移植前後の観察検査項目データから拒絶反応や副作用を予測することで、将来的な臨床現場における利用と、より効果的な治療法の選択につなげていくという。
今回の共同研究では、過去に同大学病院泌尿器科で腎移植手術を受けた患者及びその腎ドナーの基本情報、投与した薬剤の情報、検査項目や経過観察結果などの情報を分析する。アクセンチュアが開発したAI HUBプラットフォームなどを使用し、セキュアなデータ環境で、機械学習を含む複数の解析アルゴリズムから最適なものを選択、組み合わせて分析するとのこと。
また、拒絶反応や副作用の発生予測、交絡因子の検証、最適なドナーとレシピエントの組み合わせの発見、術後の最適な治療法のレコメンドなど、アクセンチュアが開発したAIモデルの精度を検証する。共同研究結果は、2021年中に学会での発表を目指すとしている。
なお同研究では、文部科学省及び厚生労働省が示す「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンス」に則り、倫理審査委員会の承認を得て実施し、匿名化したデータを基に分析を実施するとのこと。研究対象者は同大学の窓口にオプトアウトを申し出ることができるなど、倫理上・プライバシー上の不利益が生じないよう配慮するとしている。