半導体市場動向調査会社である米IC Insightsは、DRAM価格の動向について、2020年末まで下落が続いていくとの予測を発表した。
同社の調査によると、DRAMの月間平均販売価格(ASP)は、2018年7月に6.88ドルでピークを迎えた後、2019年12月に3.04ドルで底を打つまで下落を続けたが、2020年に入ると新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要の増加を受けて上昇傾向に転じていた。しかし、2020年6月の3.70ドルの後、7月と8月は3.51ドルに下落に転じており、この下落傾向は少なくとも2020年末まで続きそうだとしている。
コンピュータセグメントからの需要は堅調だが、大幅な需要の増加は見込まれていないほか、スマートフォン(スマホ)の新モデルによる需要の増加に対する期待も、コロナ禍にある今年はそこまで強くないという見通しで、5G効果も限定的であるため、DRAMの供給不足が起こることはないとみている。
2020年後半のDRAM需要を押し上げる可能性があるとすると、ソニーとMicrosoftによる次世代ゲーム機の発売で、DRAMサプライヤの中には、スマホなどで期待していたものの伸びなかった売り上げの一部を埋め合わせられるのではないかという期待を示しているところもあるという。
現在、DRAMの3大サプライヤ(Samsung、SK Hynix、Micron)は、ともに2020年第4四半期ならびに2021年第1四半期のDRAM販売額が軟化すると予想している。例えばMicronの場合、2020年9月15日に施行された米国政府の貿易制限により、HuaweiへのDRAMの販売が禁止されたことが大きな要因となっている。IntelやAMDが米商務省から輸出許可のライセンスを付与されたように、MicronがHuaweiに製品の一部を販売するライセンスを付与される可能性は残されている。しかし、ライセンスが付与されたとしても、Huaweiは生産ラインの稼働維持を目的に制裁発動に先立って可能な限りのDRAMを確保し、その量は約6か月分と見積もられているため、2021年第2四半期まで、事態が大きく動くことはないと見られている。
ただし、新型コロナウイルスが終息し、景気の回復が本格化すれば、企業は投資活動を活発化させることが期待されることから、DRAM市場は今後3年間にわたって毎年2桁%の成長が続くものとIC Insightsでは予測している。