高齢化社会を迎え、健康経営の重要性も指摘されている昨今。自社開発のスマホアプリを使って従業員に配布する企業、長時間にわたり執務を行う職場の椅子にセンサを開発する企業、従業員向けのオリジナルストレッチ体操を導入する企業などなど、取り組みも様々だ。しかし運動が健康に良いことは頭では理解しているつもりでも、なぜかなかなか始められない・・・そう思う人も多いのではなないだろうか?

NTTデータ経営研究所とセンス・イット・スマート社はモニター約6000人を対象とした調査を行い、健康無関心層から継続的に行う層までを4段階(無関心層/関心~準備層/実行層/継続層)に分類し、運動を継続的に行えるよう行動ステージを上げるための考察を発表している。

無関心層はほかの層に比べ、"損をしたくない" "持っているものを失いたくない"と思う傾向が強く、周囲の傾向に流されにくい。相対的に時間を損失すると考えている可能性があるそうだ。なかなかの頑固者である無関心層には、運動の仕方や目標の達成状況が見えるなどの情報効果、ゲーミフィケーションやインセンティブなどの効果もほかの層に比べて限定的になる。ある一定のタスクを行うとポイントなどをもらえる!という他のユーザーには"てきめん"な仕掛けも効果が薄いという。

  • 無関心層と無関心層以外の特徴的なちがい(同社資料より)

同調アプローチやゲーミングアプローチが通じないこの無関心層にはどのような手法が効果的なのだろうか?

自然に参加できるきっかけや寄り添ってくれる支援者があれば無関心層にも効くようだが、記録の簡易化や利用に際しての障壁の除去なども効果的だと指摘している。レポートでは具体的な例として、「先にポイントを付与して頑張らないと減額方式」や「同僚とチームを組んで一緒に取り組むイベント」などを挙げている。センス・イット・スマート社は今回の調査結果を活用し、さきにインセンティブ原資を供出し、ユーザー同士で分け合う仕組みを企業向けの健康増進サービスの提供を行うそうだ。

インセンティブの種類やアイデアも大きく動向を左右するのではないだろうか?無関心層である筆者は、メジャーゲームを避け比較的マイナーなゲームを行うが、やはりスキン(ゲーム内のキャラクターのインタフェースなど)がもらえると購買ポイントとは別のモチベーションが強く喚起される。レポートでもUI/UX設計への言及があるが、UI(ユーザーインタフェース)がいつもと変わるだけだが、その変化に大きく刺激されてしまうものだ。OSやブラウザのカスタムスキンに常に一定のニーズがあるのも頷ける。