PwCあらた有限責任監査法人(PwCあらた)は11月2日、栃木県から「AIいちご生産イノベーションモデル創出事業を受託したと発表した。同事業では、新品種「とちあいか(栃木i37号)」の生育や出荷時期などをAIを用いてコントロールし、これまでの2倍の収穫量と需要期の出荷量増大を目指すシステムを今後5年間で開発することを目標としている。
同県はいちごの収穫量・作付面積において、それぞれ51年・18年連続全国第1位であり、国内のいちご生産を牽引してきたが、近年では高齢化による農業従事者数の減少などにより、収穫量・作付面積ともに減少傾向にあるという。
そこで、同県はAIを用いていちごの生育をコントロールする新たなシステム開発を通じて、生産者の作付面積あたりの収穫量の向上を実現し、新規就農者が初年度より安定した所得が得られやすくすることを目指して、今回の事業を企画。
PwCあらたは、金融分野におけるリスク管理アドバイザリー業務の専門家が有するデータアナリティクスのノウハウを農業分野に応用することで、2017年から開始された農林水産省の委託プロジェクト研究「人工知能未来農業創造プロジェクト」において太陽光型植物工場におけるトマト生産へのデータ分析・AI技術の適用支援を実施。
さらに、キュウリ生産現場でのデータ活用の導入支援やIoT・AI技術を活用したスプレーギク産地の生産性向上支援、直売イチゴ経営や露地野菜におけるスマートフードチェーン構築支援を行うなど、データアナリティクス関連の実績がある。
今回の事業において同社は同県および県が指定するモデル産地の生産者や農業団体、学識経験者、研究機関などの関係者によるコンソーシアムの設置・運営、各種データの収集と収集データの解析・AIモデルの構築を担当する。