帯広畜産大学とNTT東日本は10月30日、持続可能なスマート農畜産業モデルの実現に向けた連携協定を締結した。協定の締結により、持続可能なスマート農畜産業に関する教育・研究を推進し、企業間連携による社会実装を通じて、農畜産業と経済の発展に寄与していく。
北海道における農畜産業に携わる人口は年々減少・高齢化し、農地の大規模化や一農家当たりの家畜の飼養頭数の増加など、労働環境は過酷化していることに加え、生産性の維持拡大、農業技術の伝承等の経営課題も多数抱えているという。これら課題を解決するためにはICTの活用が求められているが、農畜産分野におけるICTの導入やそれを推進できる人材の育成は十分に進んでいるとは言えないのが実状だと指摘。
こうした背景を踏まえ、帯広畜産大学の国内大学最大規模の農場や農畜産分野における豊富な研究実績と、NTT東日本の通信環境およびICTを活用したデータ分析技術を融合するために、協定を締結するに至った。
帯広畜産大学構内の実証フィールドにICTを導入することで、草地管理、飼料管理・設計、牛群管理、食品の加工・販売までの「Farm to Table」を網羅したデータ収集・統合・分析を通して、持続可能なスマート農畜産業モデルの実現に向けた研究を推進すると同時に、農畜産業を牽引する人材を育成していく。
NTT東日本では2020年7月にNTTグループ初となる畜産×ICTの会社としてビオストックを設立するなど、すでに農畜産業現場の課題解決に向けた取り組みを進めており、両者の強みを結集し、ICT教育研究環境を強化することで農畜産業と経済を発展させ、地域活性化を目指す考えだ。
両者の連携事項は(1)持続可能なスマート農畜産業の実現に向けた共同研究に関する事項、(2)研究基盤の高度化に関する事項、(3)研究成果の社会実装に向けた企業間連携の推進に関する事項、(4)農畜産分野におけるICT人材育成及び人材交流に関する事項、(5)その他、協定の目的を達成するために必要な事項となる。
役割分担として、帯広畜産大学は共同研究の実施、農畜産分野の実証フィールドの提供、企業間連携による共創の推進、農畜産分野のICT人材育成プログラムの構築を、NTT東日本は共同研究の実施、通信インフラ、クラウド、IoTデバイスなどICTの提供、共同研究成果の社会実装、農畜産分野のICT人材育成支援をそれぞれ担う。