その企業が何を考え、何を成し遂げようとしているのか?多くの企業が、経営的な具体的な数字の話から製品やサービスへの取り組み、注力している研究開発や将来の目標を株主のみならず、取引先や従業員、広くステークスホルダーに対して年次レポート(annual report)として発信している。
日本のみならず世界の食を支えてきた日清食品ホールディングスは、米国の独立評価機関MerComm, Incが主催するアニュアルレポートのコンペティション「International ARC アワード」で2年連続の最高賞"Best of Show"を受賞している。世界各国の企業から年次レポート(annual report)の応募を募り、デザインや表現力を競いあうもので34年の歴史を持つアワードだ。
今回"Best of Show"を受賞した日清食品ホールディングスの「アニュアルレポート2019」は、同社Webサイトにも掲載してあるが、実にユニークでインパクトのある年次レポート。少年漫画雑誌風の表紙のレポート(英語/PDF112ページ)では、創業者である安藤百福さんも主人公となって、まずは4つのphilosophy(食足世平/食が足りてこそ世の中が平和になる、食創為世/世の中のために食を創造する、美健賢食/美しく健康な身体は賢い食生活から、食為聖職/食の仕事は聖職である)から紹介している。
"コマ割り"のなかで表現されるデータやメッセージは、文字の大きさも自在。コマを飛び出したり、キャラクターに話させるなど、強弱も濃くつけられるため、やはり、続きを"読みたい"と思わせる力が漫画にはあるものだと感心してしまう。制作協力を行う、株式会社 志庵(しあん/SHIAN INC.)はコーポレートコミュニケーション分野において"伝える"ことに特化した企画制作を行う企業で、前回受賞の"浮世絵"風のレポートに続いての実績となる。