米国商務省にHuaweiに対する輸出許可ライセンスを申請していたSamsung Displayが、スマートフォン(スマホ)用有機EL(OLED)ディスプレイパネルについて許可を受けたと韓国の複数メディアが報じている。

当該部品については、数量や期間の制約がない許可が出たという。Samsung Display側もその事実を否定しなかったというが、公式発表はしていない。

今回の許可は、9月15日に米国政府がHuaweiに対する輸出許可の対象を「Huaweiが設計し生産委託した半導体製品」から「米国の技術と装置を活用して作ったすべての種類の半導体、電子部品、装置」に拡大して以来、全面的に中断していた韓国企業の輸出許可申請が初めて承認された事例だという。

韓国のディスプレイ業界関係者の中には、「すでに世界最大のデイスプレイメーカーである(中国の)BOEも出荷できるものであり、もはや規制する意味がなくなったため」と見る向きもあるが、10月27日時点で、SamsungのライバルであるLG Displayには許可が出ていない模様だ。

Samsung ElectronicsやSK Hynixも米国商務省に半導体チップ(半導体メモリ、プロセッサ、有機ELディスプレイドライバICなど)のライセンス申請をしているが同日現在許可が出ていないという。

米商務省の許可品目に様々な見方あるが真相は不明なまま

一方で、IntelやAMDの一部のプロセッサやTSMCの28nm以上のプロセスでの生産受託についてはHuaweiへの輸出許可が出ているといわれているが、いずれも業界関係者情報で、いずれの企業も否定はしないものの、公式に発表しておらず、米国商務省も個別の案件には答えないとしており、具体的な許可品目や条件はどこも明らかにしていない。 

韓国業界関係者は「現在米国の許可が下りている部品をみると、最新の5G対応スマホ向け部品ではないようである」といった話や「Huaweiが中国内の他企業などからの調達が可能だったり、核心でない品目についてのみ米国の許可が出ている」との見方を示している。

一方、中国最大手ファウンドリの創業者である張汝京(チャンルーチン)氏は「半導体はプロセスルールが性能を決めていることを踏まえ、米国はこれを基準に規制をかけている」と10月28日付けの朝日新聞の取材で述べているが、いずれの見解も米国が許可したとされる一部の品目の説明になってはいても、すべての品目についての統一的な説明にはなっていない。結局、米国の判断基準ははっきりせず、中国の政府系メディアである韓球時報は「米国の首都ワシントンでの議会に対するロビー活動次第」ではないかとみている。なお、日本でもソニー、キオクシアなどの半導体メーカー、TDKなどの電子部品メーカーが米商務省にライセンス申請しているといわれている。