米Deep Instinctは10月28日、日本法人を設立して国内セキュリティ市場への参入を本格化することを発表した。これにより、日本国内で顧客向けの営業活動を開始し、自社製品の販売チャネルやOEMパートナーの拡大を図る。同社は、ディープラーニングを活用してエンドポイントやモバイルデバイスにおける脅威をゼロタイムで防御する製品を提供している。

Deep Instinct CEO兼共同創業者のGuy Caspi氏は、「われわれは世界で初めて、サイバーセキュリティにディープラーニング(深層学習)を活用した企業。競合他社と異なり、攻撃を予防できることから名が知られることとなった。テクノロジーパートナーにはMicrosoft、Amazon Web Services、Googleなどがいる。日本は経済大国であるとともに、北米と同様に、新しい技術を積極的に取り入れる傾向が高いことから、日本法人を設立することにした」と、同社の強みや日本法人設立の背景について説明した。

Caspi氏はユニークな取り組みとして、同社の製品がHPのビジネス向けPCに「HP Sure Sense」として標準で搭載されていることを紹介した。これは、競合のウイルス対策製品からのリプレースだという。

  • Deep Instinct CEO兼共同創業者 Guy Caspi氏

続いて、アジア太平洋地域の事業開発担当副社長である乙部幸一朗氏が製品について説明した。乙部氏は、ディープラーニングを活用する同社の製品はセキュリティ製品の第3世代に当たり、これまでの技術では対応できなかった脅威を防御すると説明した。

  • Deep Instinct アジア太平洋地域の事業開発担当副社長 乙部幸一朗氏

「シグネチャベースで既知のマルウェアをブロックする製品が第1世代であり、その後、第2世代として、機械学習によって脅威の検知や対処を行う製品が登場した。さらに、第1世代と第2世代の製品では、対処しきれない脅威を防御するために、ディープラーニングを活用する第3世代の時代がやってくる」(乙部氏)

  • ディープラーニングを活用する第3世代のセキュリティ対策製品

同社は、ニューラルネットワークで学習して得た予測を、製品に適用している。その際、学習の結果に基づくモデルから未知の脅威を予測しているが、このモデルアプローチにおいて、ほとんどのセキュリティベンダーは機械学習を活用しているが、同社はディープラーニングを活用していることで、強みが生まれているという。

「モデルアプローチにおいて、機械学習を用いる場合、人が特徴を抽出してそれを基に学習が行われる。特徴の中には、誤解を招くものもあれば、難読化されたものもある。これに対し、ディープラーニングを用いる場合、特徴表現学習を行うので、人のフィルタを介することなく、また、人による作業の精度を超えることができる。ディープラーニングによる最大の特徴はこの特徴表現学習」(乙部氏)

  • ディープラーニングによるモデリングのアプローチの仕組み

乙部氏は、ディープラーニングを活用するメリットとして、予測の精度、対応のレベル、拡張性が向上することを挙げた。競合はオープンソースの機械学習のフレームワークを利用しているが、同社は独自のフレームワークによってバイナリデータから特徴を抽出しており、これは「人ではわからないレベル」(乙部氏)だという。

  • ディープラーニングによって得られるメリット

乙部氏は同社のディープラーニングによって検知できるモデルの優位性の例として、EMOTETの新種は登場の20カ月以上前のモデルで、また、SNAKEは18カ月前のモデルで検知していたことを紹介した。

  • Deep Instinctの製品が提供する機能

国内では、大規模企業をターゲットとしており、年内に新たなパートナーの発表も行うとしている。コンシューマー製品に関しては2022年に提供する計画だという。