矢野経済研究所は10月26日、国内スマートシティ市場について、規制・法整備動向、データ提携プラットフォームや都市OSの普及動向、ITベンダのデータ連携プラットフォーム戦略、将来展望を発表した。
同調査は、データ連携プラットフォーム/分散型データ利活用プラットフォーム提供事業者を対象に2020年4月~9月の期間で実施したもの。調査方法は、同社専門研究員による直接面接取材、および電話・e-mailによるヒアリング調査、文献調査併用。
同調査では、スマートシティ実現のために実装されるデータ連携プラットフォーム、特に都市OSに着目し、3つの特徴(相互運用、データ流通、拡張容易)をすべて満たし、かつ、8つの機能群(サービス連携、認証、サービスマネジメント、データマネジメント、アセットマネジメント、外部データ連携、セキュリティ、運用)をすべて有するITシステムを整備したことをもって、都市OSの実装としている。
同調査の結果によると、地方自治体や特定エリア内などでスマートシティ事業を実施する主体などによる都市OSの実装エリア数は、2019年度実績は0件、2020年度予測が9件となり、その後2025年度には累計60件、普及率は3.0%になると予測されている。そして、2030年度予測では累計335件、普及率は16.8%に達する見通しとしている。
また同社は、2025年度までは官庁事業による都市OSの実装が中心となり、普及率も3%以下に留まる見通しだといい、官庁事業と自主事業を合わせても10件前後/年度の実装ペースとなり、2025年度までは緩やかな普及状況になると予測している。
一方で、2023年度にスーパーシティ構想の成果が公表されることで、状況に変化が生じると同社は考えており、成功例の創出とマネタイズモデルの確立によって、その後、地方自治体・特定エリア自らが予算を確保して都市OSを実装する自主事業が活発化し、2024年度以降は自主事業による都市OSの実装が増加すると見ている。
また、2025年度には、大阪・関西万博に乗じた大阪スマートシティ戦略の展開により、多様なスマートシティ事例の創出とスマートシティの知名度向上が期待でき、2023年度、2025年度と二度のターニングポイントを経て、2026年度以降は自主事業による都市OSの実装が加速すると同社は示している。
普及シナリオを官庁事業・自主事業別に見ると、2026年度は自主事業が20件、2027年度は35件、2028年度は50件と増加し、2030年度の都市OS実装エリア数は単年度で100件、累計件数で335件になり、普及率は、2030年度には16.8%になる見通しだという。