NECと今治.夢スポーツは10月26日、今治.夢スポーツが運営するサッカークラブ「FC今治」が2014年から導入しているサッカーの指導方法を体系化した「OKADA METHOD」をデジタル化し、育成におけるPDCAサイクルと指導ノウハウの共有による質の高い指導環境を創出するスポーツ育成支援プラットフォームを共同開発したと明らかにした。
FC今治では、今年4月から9月までFC今治の指導者を対象に実施したテスト・検証を経て、10月からチーム全体の指導を行う指導者向けに、プラットフォームの本格導入を開始している。また、NECではスポーツ団体にとどまらず、部活動など地域のスポーツ指導者不足という社会課題解決への挑戦として、北海道鹿追町・北海道鹿追高等学校で、同プラットフォームを活用した実証実験にも取り組んでいる。
スポーツ指導はこれまで、指導者のスキルやノウハウに依存し、指導者間において効率的に指導方法が共有されず、組織やチーム内で指導履歴等が蓄積・継承されていないことが課題となっている。
FC今治では、チーム運営の上で重要な役割を担う指導者育成のため「指導のPDCAサイクルの習慣化」「選手やチームの変化や成長を可視化」「データ蓄積によるチームの財産化」などに向けた仕組みづくりを進めており、共同開発したスポーツ育成支援プラットフォームにより、指導者ごとに属人化されていたノウハウをデジタル化し、トレーニング履歴の可視化とともに指導者間の情報共有を効率化。これにより、多くの選手に対して質の高い指導を行うことができ、成長に合わせた良質なトレーニングを可能にするという。
同プラットフォームは、スポーツ競技などのプロコーチやトレーナが保有する育成メソッドに加えて多様な視点(心/技/体)をデジタルコンテンツとして搭載し、トレーニングの計画、実行、評価、分析を行い、PDCAサイクルを回すことができ、チームや個人に対して、多角的なアプローチが可能としている。
主な機能として、年間、月間、週間、デイリーのトレーニングを作成し、チーム内で共有することでベストプラクティスを発掘する「計画機能」、計画機能で作成した指導テーマのトレーニングを元に指導実践する「実行機能」、トレーニング後やゲーム後にチーム評価、個人評価を行い、目標やビジョンと照らし合わせた評価を実施する「評価機能」、トレーニング履歴やゲーム履歴を個人・チームごとに蓄積して分析し、チームや選手の状態をグラフでわかりやすく可視化する「分析機能」を備えている。
なお、同プラットフォームは、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科ともに共同研究を行い、育成における指導プロセスなどを構造化したことにより、さまざまなスポーツ種目でも論理的な指導を可能としている。