NECと英Realeyesは10月23日、NECの持つ生体認証・映像分析技術と、Realeyesの持つ感情分析技術を組み合わせた、新たな遠隔コミュニケーション向けのサービスを共同開発したと発表した。これは2020年7月に発表した協業の一環だといい、同サービスは2021年1月にNECから販売開始予定としている。

同サービスは、PCやスマートフォンで使用されるビデオコミュニケーションツールと連携し、ツール利用者の同意のもと、プライバシーに配慮した用途において映像からツール利用者の感情の分析を行う。

  • 会議利用における分析ダッシュボードイメージ

具体的には、Realeyesの感情分析技術を活用し、ビデオコミュニケーションツール上の映像からツール利用者の興味や注目度などの反応を分析する。その分析結果は分析ダッシュボード上で一覧として確認することができ、ツール利用者にリアルタイムで共有することが可能。

これにより、非対面であっても、コミュニケーション中の理解に不安がある部分などをリアルタイムに把握、察知し、その場で伝え方を工夫したり、発言を促したりすることで円滑な対話や会話の活性化につながるとしている。また、分析ダッシュボードを振り返ることで、主催者は会議構成やファシリテーションなどの改善、参加者は自身の反応の振り返りなど、自己理解への活用など利用者自身の目的に合わせた用途で活用することができる。

  • 教育利用における分析ダッシュボードイメージ

また、企業だけでなく教育現場においての活用も想定されている。授業中の集中度や困惑度、満足度などの全体的な傾向を教師と生徒双方で共有し、生徒が満足に理解できていないと思われる状況などに即座に対応していくことで、より目的に適った授業につなげることを可能とする。授業後は、教師は各生徒の反応を振り返って授業内容のブラッシュアップや個別指導に、生徒は自分の反応を振り返って自己学習の深堀にそれぞれ役立てることで、効率的な学習の実現に期待できるとしている。

なお、両社は2020年8~9月の2カ月間、同サービスの技術検証を行い、Web会議における会議参加者の感情を分析し、参加者の感情変化を把握できることが、主催者による自身の進行の振り返りに役立つことを実証したという。

両社は今後、グローバルで3,600億円規模の感情分析サービス市場におけるトップシェア獲得を目指すとしている。