メトロウェザーとNTT Comは10月22日、ドップラー・ライダーを活用した風況情報を提供するシステム(以下、風況プラットフォーム)を用いた、ドローン安定運航における風況情報の有効性を検証するための実証実験を2020年11月4日より2日間、ANAホールディングスと共同で開始すると発表した。
ドップラー・ライダーとは、大気中にレーザー光を発射し、エアロゾル(塵、微粒子)からの反射光を受信することによって、風速・風向を観測することができる大気計測装置。
風況プラットフォームは、メトロウェザーが持つドップラー・ライダーや信号処理技術と、NTT Comのデータ利活用プラットフォームである「Smart Data Platform (SDPF)」が提供するデータ収集機能やクラウド上でのデータ蓄積、データ統合・可視化などのIT基盤を組み合わせることで、リアルタイム風況情報の提供を可能にする。
具体的には、ドップラー・ライダーににより、赤外線レーザー光による360度スキャンを行うことで、風況を3次元にリアルタイムで取得することができ、信号処理技術により、約100m間隔で風向や風速の情報を得ることが可能だ。また、風速や風向といった情報を視覚的に表示する風況情報見える化ツールの提供も行う。
同実証実験は、長崎県五島市において、風況プラットフォームを活用し、ドローンによる処方薬などの海上輸送における風況情報の有効性を検証するもの。
具体的には、五島市の福江島と嵯峨島間にドローンによる海上輸送ルートを構築し、ANAホールディングスの運航管理のもとドローンによる海上輸送を行う。メトロウェザーとNTT Comは、風況プラットフォームにおける風況情報見える化ツールを使用することで、ANAホールディングスのドローン運航管理者に対して風況情報を提供する。この情報を安定飛行に活用することで、風況情報の有効性を検証する、といった流れだ。
なお同実証実験は、五島スマートアイランド推進実証調査協議会が行っている、オンライン遠隔医療の離島モデル構築の取り組みの一環だ。
各社の役割をまとめると、ANAホールディングスは、医薬品などの配送受付からドローン物流の運航管理全般と配送依頼システムの構築を行い、メトロウェザーは、ドップラー・ライダーによる風況情報観測、信号処理技術を活用した風況情報の高精度化を試みる。またNTT Comは、ドップラー・ライダーで観測した風況情報の収集・蓄積のための通信・クラウド環境構築、および風況情報の視覚化ツールの開発を担う。