10月20日~23日にかけて初のオンライン開催となるCPS/IoTの総合展「CEATEC 2020 ONLINE」が開幕する。前日となる10月19日、主催者であるCEATEC実施協議会はメディア向けに概要に関する会見を開催した。

初のオンライン開催となる今回の出展申し込み数は356社/団体。幕張メッセで開催された2019年は1つのブース内に複数のパートナー企業が参加する共同展示形式のものも含め355社/団体であったとのことであるので、規模的にはほぼ前回と同程度と言える。また、新規出展者数は164社/団体で、新規出展者率は46%。2019年が39%であったとのことで、今回、オンライン開催ということで、オンラインと相性のよりソフトウェア、ソシューション企業の参加が増えたという。このほか、設立9年以内のスタートアップや大学研究機関の出展社数は135社/団体、海外企業の出展社数は71社/団体(一部重複あり)とのことで、今回は海外スタートアップとしてトルコやメキシコからの出展社もいるという。

CEATEC 2020 ONLINEの歩き方

初のオンライン開催となるCEATECだが、その参加方法はいたって簡単。CEATECのWebサイトにて参加者登録を行って、ログインをするだけ。

  • CEATEC 2020 ONLINE

    CEATEC 2020 ONLINEの登録画面

ログインすると、「ニューノーマルテーマエリア」「企業エリア」「Co-Creation PARK」の3つの展示の入り口を先頭に、その下にコンファレンスへの参加口、そしてその下に現在開催されているライブプレゼンテーションやコンファレンス、運営からのニュースなどを見ることができる構成となっている。

  • CEATEC 2020 ONLINE

    ログイン後の画面。3つの展示エリアを最上段に、コンファレンス、ライブプレゼンテーションの案内などが中下段に配置されている

メインとなるのが3つの展示エリア。ニューノーマルテーマエリアは、さらに「ニューノーマル ソリューションズ」「要素技術・デバイス」「デジタルまちづくり」の3つのカテゴリで区分けされており、それぞれに参加している企業については、ロゴやアイコンで表示されており、それらをクリックすると、各企業ブースの展示内容を見ることができる。

  • CEATEC 2020 ONLINE

    ニューノーマルテーマエリアの3つのカテゴリ

今回のCEATECはオンラインということで、単にパネルを見せるのではなく、動画やそのサポートのためのプレゼンテーション、資料ダウンロードといった機能を装備。また、説明員とチャットでインタラクションに会話を交わすことも可能となっている。

CEATEC AWARD 2020の発表

今回のメディア向け事前説明会では、併せてCPS/IoTによるSociety 5.0の実現を促し、新たな価値と市場の創造・発展に貢献、関係する産業の活性化に寄与することを目的とした「CEATEC AWARD 2020」を発表した。1か月間の募集期間の間に62件の応募があったという。

その中から、「総務大臣賞」を受賞したのは富士通と理化学研究所が開発を進めている日本のスーパーコンピュータ「富岳」。システムとアプリケーションを協調的に開発し、消費電力性能、計算能力、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果の創出、それぞれを世界最高水準で備える、世界の他のシステムに対して総合力で卓越するシステムであるという点が評価されたという。

また、「経済産業大臣賞」を受賞したのは東芝の「マイクロRNA検出技術」。スペース効率の高い小型装置により短時間で、かつマイクロRNAの血中濃度を測定することで、13種類のがんの早期発見を可能とする技術であり、他国企業のRNA検出技術と比べても検出時間、コスト面で優位な点があることが評価されたという。

このほか、部門賞として、以下の技術が受賞している。

ニューノーマル ソリューションズ部門賞

グランプリはシャープの「透明ディスプレイパーティション」。透明性が高く発光しない、というパーティションによる新たな生活スタイル、新たな体験の提案が評価された。また準グランプリは東芝の「シミュレーテッド分岐マシン(SBM)」。大規模な組み合わせ最適化問題を高速かつ高精度に解くことができる技術で、柔軟性の高い技術としてさまざまな用途に活用可能になると期待される点が評価されたという。

ニューノーマル 社会を支える要素技術・デバイス部門賞

グランプリはアルプスアルパインの「タッチレス操作パネル」。独自開発のASICと高感度静電容量センサ、アルゴリズムにより、10cmほど離れた位置から手の存在を検知可能で、手や指とセンサの距離やジェスチャーに応じた操作が可能である点が、ニューノーマル社会における直接触れて操作することに対する抵抗感を払拭できるという点が評価されたという。準グランプリはTDKの「AR グラス用 超小型フルカラーレーザーモジュール」。ARグラスの小型化を可能にすることが可能となるほか、次世代のシリコンフォトニクス素子でも役立つ技術であることが評価されたという。

ニューノーマル 時代のデジタルまちづくり部門賞

グランプリはTDKの「ピエゾ環境発電によるホイール完結型センシング」。ピエゾ素子を応用した自動車用タイヤ・ホイール向けエナジーハーベストモジュールによる発電技術で、タイヤのIoT化や、発電・センシング対象事象の拡大への期待が評価されたという。準グランプリはロームの「IoT時代の白物家電の待機電力極小化に貢献する、業界初のゼロクロス検知IC「BM1ZxxxFJシリーズ」。消費電力削減とは異なるゼロクロス検知回路という未開の地に着目し、ICの開発に成功した点が評価されたという。

オープン部門賞

グランプリはNMEMS技術研究機構と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「IoTネットワーク社会を支えるコインサイズの振動発電器」。スマホに入っているセンサやマイクを作る技術と、新たに開発した発電技術を掛け合わせて、身の回りにあるわずかな振動を電気エネルギーに変換する小さな発電器を開発し、実用的なエナジーハーベスタ需要に応える技術として期待される点が評価されたという。準グランプリは村田製作所の「非振動型広帯域超音波発生デバイス」。熱により音波を発生させることで、残響が少なく広帯域な音波を発生させることができるもので、ニューノーマル社会に向けた非接触のユーザーインタフェースや心拍などのバイタルサイン検知などへの応用が期待される点が評価されたという。

Co-Creation PARK部門賞

グランプリはAIメディカルサービスと新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「人工知能による胃がん内視鏡画像読影支援システム開発」。見落としがちな胃がんをAIを活用することで、正診率94.3%を実現。治療にかかる医療費を効果的に削減し、胃がんの死亡者を減少させることが期待できる可能性がある点が評価されたという。ちなみに準グランプリの受賞者は居なかったという。

なお、コンファレンスや出展者プレゼンテーションの一部のプログラムについては会期が終了しても、2020年10月28日~2020年12月31日までの期間限定ながら、視聴することができるようになる予定だという。ただし、プログラムによって、視聴可能期間が異なる場合があるので、その点は注意が必要になるという。