富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)は10月16日、米Qualcommとの協業で開発した5Gスマートフォンのリファレンスデザインを活用し、ローカル5G対応したスマートデバイスを開発したと発表した。今後、需要の拡大が見込まれるローカル5G市場において、ネットワーク検証や実証実験用に10月末から提供を開始する。
ローカル5Gは、企業や自治体、病院、学校など、それぞれの地域や産業が抱えるニーズに応じて、限定された敷地内や建物内に自在に構築できる5Gネットワークシステム。
5Gの特徴である超高速大容量・超低遅延・多数同時接続に加え、高いセキュリティや通信の安定性などの特性を活かし、これまで無線化が難しいとされてきた工場や倉庫のスマート化の実現、公衆の5Gネットワークの整備が行き届きにくかった農場や建設現場、河川での遠隔監視、さらにはスタジアムをはじめイベント会場や病院といった幅広い分野において導入が期待されている。
ローカル5G対応スマートデバイスは、ミリ波とSub-6に対応するほか、Non Stand Alone(NSA)方式(Sub-6帯またはミリ波を使用し、4Gのインフラを基盤として動作する無線アクセスネットワーク構成)と、Stand Alone(SA)方式(Sub-6帯を用いて、5Gのみで動作する無線アクセスネットワーク構成)の両構成に対応したスマートフォンタイプの端末。
小型・軽量で持ち運びがしやすく、ローカル5Gのネットワーク検証や実証実験の現場で機動性があることに加え、カメラやGPS、マイク、加速度などの各種センサを搭載し、さまざまな用途の実証実験に活用でき、Android OSを搭載しているため、ユーザーが独自にアプリケーションを開発することも容易としている。
同デバイスに搭載されているカメラや各種センサを利用することで、4Kの高画質映像を超低遅延でリアルタイムにライブ配信することが機器を追加することなく実現できることほか、スマートデバイスを介して、FA機器や各種センサをローカル5Gネットワークに接続し、大容量または多数のデータを高速で伝送することもできる。
また、同デバイスはローカル5Gの周波数として2019年12月に制度化された「28.2-28.3GHz」に加え、今後割り当てが検討されている「28.3-29.1GHz」「4.6-4.9GHz」にも対応し、周波数の拡大も見据えて幅広いネットワークの検証に活用でき、ローカル5Gのネットワーク状態を可視化する独自のツールも用意。
ローカル5Gのネットワーク状態可視化ツールは、ローカル5G対応スマートデバイス上で動作可能なLTEおよび5G(Sub-6/ミリ波)の無線情報のリアルタイム表示機能、位置情報を含む無線情報の時系列ログ保存機能、スループットの測定および測定ログの保存機能、シグナリングのシーケンスログ出力機能を備えている。
同社はローカル5G対応スマートデバイスを起点に、安定した通信環境を構築するため必要となるローカル5Gのネットワーク状態可視化ツールや、ローカル5Gのエリア設計に必要となるシミュレーションあなどの技術コンサルティング、エッジAIを活用したソリューションに加え、さらにローカル5Gのネットワーク機器開発企業とのパートナーシップを通じて、最適なローカル5G環境構築、ローカル5Gソリューションをワンストップで提供することを目指す。