米SRI Internationalは10月13日、「SynFini(シンフィニ)」テクノロジープラットフォームの、グローバルな戦略的パートナーシップとコラボレーションを日本国内に拡大したと発表した。

同プラットフォームは、創薬と開発プロセスを加速するために設計し完全に自動化した合成化学プラットフォーム。また同プラットフォームのシステムは、医薬品に使用する化学物質の設計・発見・開発をサポートするツールを統合しており、低コストで新薬の開発が可能になる。

SynFiniには、機械学習ソフトウェアプラットフォームである「SynRoute」、反応スクリーニングプラットフォームである「SynJet」、マルチステップで自動化したフローケミストリー及び開発プラットフォームである「AutoSyn」を含む。

同社は既に、リバビリン、タリバビリン、チアゾフリンというヌクレオシド系抗ウイルス剤の13時間での合成に成功しているといい、手動に比べて約10分の1以下の時間という。SynFiniの各コンポーネントは、従来の化学合成プロセスと比較して大きな利点をもたらすとしている。

SynRouteは、目的とする化合物の合成に向けた計画を提供するツール。AI(人工知能)/ビッグデータと機械学習を利用してルート設計を数分で分析及び最適化し、コスト、成功の可能性、実装の容易さに基き、最適な合成計画に優先順位を付与する。

SynJetは、最適な反応条件を見付けるための迅速な反応スクリーニング及び最適化(RSO)のためのハイスループットな自動化学システム。

インクジェット印刷プラットフォームと標準的なラボ分析の利用により、従来の手作業では最適化に数週間かかる可能性のあるマルチステップの化学反応を数時間で実行できる。 時間、温度、化学量論、pH、試薬、溶媒、基質などの重要なパラメータは、完全に自動化したプロセスで実験計画法(DoE)を使って迅速に探索できるとのこと。独立型のモジュールだが、バッチ合成とフロー合成の両方にマルチステップのルート最適化の起点を提供するように設計したとしている。

AutoSynは、マルチステップ合成を確実かつ再現性高く実行する新しいフローケミストリーハードウェアプラットフォーム。このシステムは、小型化したベンチスケールの化学プラントのように構成しており、分析機能を統合した。

モジュール式コンポーネントにより、温度と圧力の変化に対応し、カスタム及び既製のリアクター技術の統合を可能にするとのこと。3000以上の異なる多段階反応構成へのアクセスを提供し、2時間以内に分子の合成を切り替えることができ、ミリグラムからグラムスケールの合成が可能な柔軟性を備えているという。

また同社は、さらに高度なAI機能を組み込むために、AI創薬業界を牽引するグローバル企業と提携しているとのこと。

2020年3月には仏Iktosと提携し、同社の新薬設計モデリングAIをSynFiniと統合することで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)やインフルエンザなどのウイルス感染症における新治療薬候補の特定の加速を目指しているという。

同年5月には腫瘍学の創薬プロセスをより一層迅速化するために、AIを駆使したグローバルな創薬企業でイギリスに拠点を置くExscientiaと戦略的提携を締結した。同社の先進的なAI設計技術とSynFiniとの融合により、SRIは価値の高い抗がん剤をターゲットとする創薬候補の特定の加速化を目指すとしている。