電池技術関連の特許出願数で、日本が世界の3分の1を占めるトップだとする調査結果を、欧州特許庁(EPO)と国際エネルギー機関(IEA)が共同発表した。出願数上位企業10社のうち7社が日本を拠点とする企業だったほか、リチウムイオン電池関連の特許発明者数で日本が4割に上った。
電池技術に関する世界の特許出願数は、2005~18年に年平均14パーセント増加し、全技術平均の約4倍を記録した。18年には7000件超となり00年の約7倍に達した。18年は日本が2339件で世界の3分の1を占めトップ。調査は「電池の革新において、日本は00年代に既に世界をリードしていたが、過去10年間で各国との差がさらに拡大した」とした。2位は韓国の1230件だった。
企業別では00~18年の出願数トップ10社のうち7社が日本を拠点とする企業で、2位のパナソニック(4046件)のほかトヨタ自動車、日立製作所、ソニー、NEC、日産自動車、東芝が入った。1位は韓国のサムスン電子(4787件)。
電池セル関連では、リチウムイオン電池が18年の出願の45パーセントを占めた。リチウムイオン電池の出願に関わる発明者は、14~18年に日本が41パーセントとなり、調査は「日本は支配的な勢力」とした。
次世代リチウムイオン電池では、電解液を燃えにくい固体に改めた全固体電池が有望視され、各国が開発を競っている。こうした中、日本は14~18年に全固体電池の出願数の54パーセントを占めた。「米国の18パーセント、欧州の12パーセントを大きく引き離し最先端を走っている」という。
一方、昨年の日本国内の電気自動車販売台数が世界市場の2パーセントに過ぎなかったのに対し、中国では110万台で50パーセントを占めたという。「日本は電気自動車の主要技術であるリチウムイオン電池の特許で世界をリードしているが、国内市場の拡大につながっていない」とし、日本が技術開発の優位を市場に生かせていない状況を指摘した。
電池技術をめぐっては昨年、旭化成の吉野彰名誉フェローら日米の3氏がリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞。リチウムイオン電池は小型で高電圧という利点から携帯電話やノートパソコン、デジタルカメラなどのモバイル機器の電源として急速に普及し、IT(情報技術)社会を実現している。
共同調査は「EPO-IEAバッテリースタディー」で、9月22日に発表した。
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