SK Hynixは10月6日、ビッグデータやAI、機械学習のニーズに対応する高速・高密度メモリ製品となるDDR5 DRAMの本格的な販売を開始したことを発表した。

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  • SK HynixのDDR5 DRAMチップとDIMMモジュール

2年をかけて周到に発売の準備を進めてきたSK Hynix

SK Hynixは、2018年11月に16GビットDDR5を開発したことを発表したが、その後、Intelをはじめとする主要パートナーに対してサンプル製品の提供を進め、パートナー各社とさまざまなテストや検証を進めてきた。今回の本格販売に至るまでの約2年間、こうしたパートナー各社との検証により、DRAMのパフォーマンスに影響をおよぼすレジスタクロックドライバ(RCD)やパワーマネジメントIC(PMIC)など、DRAMモジュールの主要コンポーネントの互換性検証などが進められてきた一方、2020年7月初めにJEDECがDDR5規格を公開するなど、市場の普及に向けた下地が整えられつつあった。

SK Hynixが製造するDDR5 DRAMは、転送速度が前世代のDDR4比で1.8倍となる4800~5600Mbps。動作電圧はDDR4の1.2Vから1.1Vへと引き下げられており、低消費電力化も図られている。

また、注目すべき仕様として、チップ内のエラー訂正コード(ECC)の搭載により、1ビットレベルのエラーでも訂正が可能となり、これを活用することでアプリケーションの信頼性を20倍に向上させることが可能になるという。

なお、同社のDDR5製品はTSV技術を活用することで、最大256GBまでラインナップとして提供することができるとしており、低消費電力、高信頼性のメモリとして、データセンターニーズを中心に幅広く採用されることが期待されるとSK Hynixでは述べている。また、英国の市場動向調査会社Omdiaも、DDR5の需要は2021年に増加し始め、2022年に世界のDRAM市場全体の10%を占め、 2024年には43%を占めるまでに成長するとの市場予測を出している。

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    JEDECの定義したDRAM仕様 (出所:SK Hynix)