スウェーデンの王立科学アカデミーは6日、2020年のノーベル物理学賞を、ブラックホールの研究に大きな貢献をした欧米の3人の研究者に授与すると発表した。日本人の授賞者はなかった。
賞金の計1000万スウェーデン・クローナ(約1億1900万円)が3氏に贈られる。授賞式は新型コロナウイルス感染症の流行を考慮し、オンラインで12月10日に開かれる。受賞者は居住国でメダルと賞状を受け取る。
3氏は、英国オックスフォード大学教授のロジャー・ペンローズ氏、ドイツのマックスプランク地球外物理学研究所所長と米国カリフォルニア大学バークレー校教授を兼ねるラインハルト・ゲンツェル氏、カリフォルニア大学ロサンゼルス校教授のアンドレア・ゲッズ氏。
ブラックホールは、超高密度で、強い重力のために光も抜け出すことができない天体。ペンローズ氏は1931年英国生まれ。1965年、独自に考案した数学的手法により、宇宙のブラックホールの形成がアインシュタインの一般相対性理論に基づいて説明できることを証明した。アインシュタインの死去から10年後の成果で、ノーベル財団は一般相対性理論に対する最も重要な貢献としている。
ゲンツェル氏は1952年ドイツ生まれ。ゲッズ氏は65年米国生まれ。2氏は、1990年代の初めから「いて座」の領域をそれぞれ観測。世界最大級の望遠鏡を活用して、星間ガスとちりに遮られずに天の川銀河の中心までを観測する方法を開発した。この方法により、天の川銀河の中心で目に見えない天体が強い重力によって他の天体を引きつけていることを確認し、その正体が超巨大ブラックホールであることを突き止めた。
関連記事 |