電源開発(Jパワー)とKDDIは10月7日、風力発電機のブレードに沿って自動撮影が可能というドローンベース製のオートフライトソフトを搭載するドローンを使用した、風力発電機の自動点検の有効性の実証を、北海道のJパワー苫前ウィンビラ発電所など2か所で9月1日から9月30日まで実施したと発表した。引き続き、実用化に向けた検討を進めていくとのこと。

  • 点検の様子

ドローン撮影の様子

風力発電機のブレード点検は人の手によって実施しているが、特殊な高所作業であり技能を有する人員が限られ、また各社が実施する点検作業も風の吹かない夏期などに集中するため、作業員の確保に課題があったという。

これらの課題に対して両社は、先端のテクノロジーを駆使した課題解決を進めるためとして、ドローンを使ったブレードの自動点検について有効性の実証を実施した。

同点検では、風力発電機をオートフライトソフト搭載のドローンで撮影することで、遠隔操作によるブレード点検を行った。このオートフライト機能により、停止させた風車のブレード3枚を1枚あたり4方向から、1回の飛行で撮影できる。

  • 撮影したブレードの画像

撮影完了後、撮影画像処理ソフトを使用して画像に撮影位置・高度情報を付与し、クラウドサーバーにアップロードした。クラウドサーバーにアップロードした画像データについては、画像解析ソフトを使用して損傷個所を解析し、損傷部識別の正確性などを確認する実証を実施したとしている。

オートフライトの使用により、ドローンがブレード中心位置から自律飛行し、停止中の風力発電機のブレード3枚をそれぞれ4方向から一度に撮影できる。現地の保守メンテナンス要員がオートフライト技術を利用することで、ドローンの高度な操作技術は不要となり、簡単な設定でブレードの点検が可能。さらに、自律飛行のため、落雷などの緊急時でも現地の作業員による迅速な点検ができるとしている。

  • 風力点検で目指す姿

実証結果については、オートフライトソフト搭載のドローンを使用して風力発電機全体 (ブレードやタワーなど)を漏れなく写真撮影できたという。1基あたり約20分程度で撮影でき、従来の点検手法と比べて10分の1程度に時間を短縮できたとのこと。撮影した写真は高精細で、高所作業で接写した写真と比べても遜色が無く、また画像解析ソフトによる損傷個所の解析もできたという。

これらの実証結果を踏まえ、従来の高所作業による外観点検の代替性の検証ができたとしている。今後両社は、同点検の実用化に向けた検討を引き続き進めていくとのこと。

さらに、ドローンやLPWA(Low Power Wide Area)などを使ったDX(デジタルトランスフォーメーション)による保全業務の高度化を推進し、ドローンや各種IoTセンサー(河川水位センサーや設備の異常検知センサーなど)が取得したデータを集積・分析・可視化するデータプラットホームを構築する予定。

加えて、AI(人工知能)分析やドローン/ロボットなどによる遠隔操作、自動制御などを見据え、取り組みを進めていくとしている。