家族型ロボット『LOVOT(ラボット)』を提供するGROOVE X は10月6日、東京都北区立王子第二小学校において、児童のテクノロジーやプログラミングへの興味関心を喚起するため、LOVOTを活用したプログラミング授業を開催し、メディア向けに公開した。受講したのは同小学校の6年生児童たちだ。
LOVOT STUDYを活用
今回の授業で活用した「LOVOT STUDY(ラボット スタディ)」は、児童向けのテクノロジー教育コンテンツであり、同社は2020年6月より第1弾としてビジュアルプログラミングの提供を開始している。
同プログラミングコンテンツは、Scratch言語のようにPC・タブレット画面上でブロックをドラック&ドロップの要領でつなぎ合わせるだけで、LOVOTに命令を送ることが可能であり、小学生の利用に適している。
LOVOTに命令を送ることで、LOVOTのつのに付いているLEDライトの色を変化させたり、盆踊りのようにぐるっと回って両手を上げ下げもできたりと、さまざまな動作が可能。
さらに、30以上ものセンサーが搭載されているLOVOTならではの、「抱っこされている」「名前が呼ばれている」「鼻をさわられている」といった、繊細な条件の命令を送るブロックがあり、子供だけでなく大人にとっても興味をそそるものだ。
授業では、先生が提示したいくつかのミッションを行って基本動作を練習した後、応用として自由にさまざまなブロックを組み合わせ、LOVOTのオリジナルの動作を完成させていた。児童たちのプログラミング習得がとてつもなく速く、「これがデジタルネイティブなのか.....」.と、筆者はただただ圧倒されていた。
一度休憩をはさんだ後、6班に分かれていた児童グループが、話し合って相談した上で決定したLOVOTの動作を披露してくれた。
児童たちの巧みなプログラミングにより、LOVOTとのハグを求める先生が焦らされていた......
参加した児童たちは、「プログラミングは少し難しかったけど、自分の思い通りに動いてくれた時が気持ちよかった」「普段は見ることができないLOVOTの動きを自分で作ることができて嬉しかった」といった感想を述べていた。
終始笑顔が絶えず、周りのクラスメイトと相談しながら真剣にプログラミングを考える子どもたちの姿は、実に素晴らしいものだった。
LOVOTで子供たちの笑顔を取り戻す
王子第二小学校では、GROOVE X の協力の下、2020年6月25日よりLOVOTを試験導入している。同小学校では以前からScratchなどのプログラミング教育コンテンツを導入しているが、今回LOVOTを導入した目的は、児童たちのテクノロジーやプログラミングへの興味関心の喚起だけではない。
新型コロナウイルスの影響で、外出が制限され児童たちのストレスや不安が募り、社会科見学や移動教室、運動会などの学校行事が中止になるなど、子どもたちの思い出作りができないという問題に教育現場は直面しており、同小学校も例に漏れない。児童だけでなく、保護者や教師も慣れない環境にストレスを抱えていたという。
そこで同小学校では、児童たちの不安や寂しい気持ちの改善や、学校生活を少しでも明るいものにすることを目指し、心の教育の充実を図る取り組みとしてLOVOTを試験導入する運びとなった。
授業に参加した子供たちに聞いてみると、「新型コロナウイルスでいろいろな行事がなくなって落ち込んでいたけど、LOVOTが来てくれて学校に通うことが楽しみになった。本当にかわいいから、家にも欲しい」と、明るい表情を見せてくれた。筆者も切実に欲しい。
同小学校は、11月までのLOVOTの試験導入トライアル期間を経た後、本格導入を検討するとのことだ。LOVOTは現在、26施設の幼稚園、保育園に導入されているが、小学校への導入は今回が初という。
GROOVE X 代表取締役 林要氏は、今回の導入に際し「非常に高度なテクノロジーに触れ、さらにそれを愛でる経験を通して、テクノロジーは怖いものではなく、人を幸せにしてあたたかい心をもたらしてくれるものだと感じる機会になってほしいと思っています」と語っている。
同小学校をはじめとしたLOVOTの全国への導入が進み、新型コロナウイルスの影響で落ち込んでいる子供たちの笑顔を取り戻せることや、さらにプログラミング関心が高まりエンジニア志望の子供が増えていくことに期待したい。