サイオスは10月5日、グループ再編と組織改革プロジェクトおよびビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。同日、完全子会社であるサイオステクノロジーを吸収合併存続会社として、キーポート・ソリューションズおよびグルージェントを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行ったこと、定年制を廃止したことが発表された。

事業戦略については、代表取締役社長の喜多伸夫氏が説明を行った。同氏は「当社創業以来、オープンソース・ソフト(OSS)を軸にビジネスを展開してきたが、こんな企業はほかにはない。今回、事業を再編することで、オープンソースのスピリッツを全社に展開していく。これにより、アフターコロナの世界で成長していきたい」と語った。

今後は、クロスセリング機会の拡大を戦略に据える。具体的には、新型コロナウイルスが日本経済にもたらした「デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速」「働き方の変化/リモートワークの推進」「組織の在り方の変化」という課題に対し、ソリューションを提供していく。

喜多氏は、「3社のソリューションを統合して提供していくことで、DXを支援していきたい」と述べた。企業のDXを支援するため、「システム開発のインテグレーション、プロフェッショナル・サービス」「事業継続ソリューション」「パートナービジネス・ソリューション」を提供する。

  • デジタルトランスフォーメーション推進に向けたソリューション

「働き方」については、働き方改革支援のソリューションと働き方改革のためのID連携・認証を提供する。組織の在り方の変化については、ビジネスモデルの改革支援サービスを提供する。

  • 「働き方の変化/リモートワークの推進」に向けたソリューション

  • 「組織の在り方の変化」に向けたソリューション

喜多氏は、再編によるシナジーについて「クロスセリングの機会の拡大とともに、各社が部分最適化してきた状態を解消できる」と説明した。

サイオスは企業の働き方改革を支援するとともに、自社でも働き方改革を進めている。同社の働き方改革については、執行役員 経営企画担当の東千晃氏が説明した。

東氏は、今回の再編に伴い「変化に強い自力分散型組織を目指す」と語った。自力分散型組織とは、各人が自ら考えて行動する組織だという。その背景には、同社が展開してきたOSSは自由で開かれたもので、それこそがサイオス流であることがあるという。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、同社はさまざまな施策を講じてきた。環境・カルチャーついては、オンラインでのオフィス環境を整備するとともに、オンラインによる会議・全社集会などを開催している。

人事制度に関しては、全社員が原則在宅勤務としながらも、事業継続力の向上と働き方の多様化を推進するため、リモートワークを基本とする自由な勤務体制に移行している。また、新型コロナウイルス手当(一律3万円)も支給している。そして、働き方改革の一貫として、10月1日より定年制が廃止された。

東氏は人事制度に関して、既に実施されている特徴的な仕組みとして、「360度評価」「OKR」「1on1」を紹介した。同社の「360度評価」の面白いところは、会社と本人が選んだ複数のアセッサーによる評価が年俸と職位に反映されるところだ。「OKR」についても、個別またはグルーブごとに目標を設定し、それに対する達成度合いで評価を決める「目標管理制度((MBO)」と異なり、人事考課に活用しないそうだ。そのため、「挑戦的な目標を設定することができる」(東氏)という。

  • サイオスの特徴的な人事制度

さらに、東氏は同社の働き方改革の特徴として、組織体制を紹介した。今年4月より、ピラミッド組織からフラット組織に変更したという。フラット組織では、CoE(Center of Excellence)を設置し、希望に応じて好きなプロジェクトに参加することが可能だという。