三井不動産とNECネッツエスアイは9月30日、ローカル5Gを活用したスマートビルの実現や新たなワークスタイルのサービス提供を目指し、共同実証実験の実施に合意したと明らかにした。実証実験は12月から2021年5月まで、日本橋室町三井タワー内の5、6階(オフィスロビー)、11階(三井不動産オフィス内)、22階(NECネッツエスアイのイノベーションベース内)で行い、大規模オフィスビル内でのスタンドアローン方式のローカル5G(4.7GHz帯)を用いた実証実験は、日本初の取り組みだという。
実証実験において、NECネッツエスアイは総務省に本年内に商用のローカル5G無線局免許の制度化が行われる予定の4.7GHz帯域を活用した実験試験局免許の申請を行い、同帯域の商用のローカル5G無線局免許の制度化後は、三井不動産が商用免許申請を行い、実用化に向けた取り組みを加速していくという。
ローカル5Gは、5Gの特徴である高速・大容量、低遅延、多接続に加え、自営網の特徴である性能カスタマイズの柔軟性、高セキュリティ、安定性を兼ね備え、オフィスビル内のさまざまな用途に活用することが可能。スマートビルにおける各種の通信ネットワーク最適化基盤を構築し、多様なワークスタイルにフレキシブルに対応できるネットワーク環境の実現を可能としている。
三井不動産の場と機会を活用するノウハウと、NECネッツエスアイのネットワーク・無線基盤技術と働き方改革ノウハウを融合し、ローカル5Gを活用しながら「XRや映像・音声認識技術等を高度に活用したリアル、バーチャル両方のワークプレイスの設置」「高速・高セキュリティな無線ネットワークと5Gスマートフォンを活用したPCレスのオフィス環境の整備」「ロボットや次世代サイネージを活用したテナント向けサービスの提供やオフィスビル管理」の3つのテーマで実証実験を行う。
これにより、ワーカーの知的生産性の向上、多様なワークスタイルのニーズに対応した高セキュリティなオフィス環境やサービスモデルの創出を目指す。また、ロボティクスなどを活用したオフィス内の非接触化の取り組みにより、新型コロナウィルス感染拡大に対するオフィス利用者の不安を軽減するなど、5Gをビル管理に取り入れながら大規模地震をはじめとした災害時の活用も視野に入れている。