富士通は9月29日、自動車に搭載されるソフトウェアを開発する上で、各設計部門のコラボレーション開発を支援する車載ソフトウェア開発基盤「Future Mobility Accelerator Design Collaborator」(デザイン コラボレーター)をモビリティ業界向けに、10月1日から販売を開始すると発表した。

新製品は、各ソフトウェア設計部門の設計情報やハードウェア部品の構成情報などを、AUTOSAR(2003年に設立された車載電子制御システムの標準化を推進する組織)やReqIF(要件情報をツール間でデータ交換するために規定された標準フォーマット)など業界標準に則った連携フォーマット形式で収集する。

収集された設計情報を車種、型式、部品、ECU(Electronic Control Unit:自動車に搭載される電子制御部品)といった軸で設計情報の構造化を行い、自動車開発における開発プラットフォームとして、ハードウェア・ソフトウェアの組み合わせ管理機能などを提供するという。

  • システムの全体イメージ

    システムの全体イメージ

自動車は、販売先の国・地域に合わせた規制への対応の違いやオプションとして提供する装備の種類、マイナーチェンジやメジャーチェンジによる搭載機能の差異などにより、1つの車種でも多くのバリエーションがあり、同一ハードウェアに異なるソフトウェアが搭載されている場合もあるなど、複雑なハードウェアとソフトウェアの組み合わせ情報を管理する必要があるという。

そのため、新製品ではハードウェアとソフトウェアの組み合わせ情報を可視化し、類似の組み合わせで削減可能なバリエーションの特定の支援や、自動車開発のテスト工程で検証が必要なハードウェアとソフトウェアの組み合わせパターンを容易に抽出することができ、開発期間短縮や開発コストの低減を可能としている。

また、自動車のメーター開発やエンジン開発などの各設計部門の設計情報を一元的に管理するほか、自部門での設計情報と関連する他設計部門の設計情報の関連性を可視化。

自動車に搭載されたECUは、自動車内のネットワークを介して、車両速度やハンドル操作など多くのデータをECU間でやりとりしており、新製品では開発プロセスの上流の設計段階において、データ送信側とデータ受信側のECU間での設計情報の相互参照を促し、部門間の設計に不整合があれば、アラート表示する。これにより、設計段階から部門間のコミュニケーションを促し、開発プロセスの上流段階から、各部門が協調した品質の作り込みができるという。

さらに、管理対象の設計データを要件、ハードウェア、ソフトウェア、通信インタフェースの4つに分類して管理し、開発途中で設計変更が必要な場合、ソフトウェアの設計担当者は変更対象のソフトウェアを起点に、他のソフトウェアだけでなく、ハードウェアへの影響まで調査することが可能。

そのほか、通信設計の担当者は通信インターフェース情報を起点として、影響を受けるソフトウェアを特定することができことから、場合によっては1か月程度かかることもあった影響分析の業務を、即座に行うことを可能としている。