半導体材料市場動向調査会社である米Techcetは、2020年の半導体製造に用いられる材料市場の規模について、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う工場の操業停止などがあったにもかかわらず前年比2.8%増となり、500億ドルを突破することが予測されると発表した。
半導体材料市場の規模は2020年4月段階では前年比3%減のマイナス予想となっていたが、コロナ禍にあっても半導体産業が好調を維持していることもあり、今回の上方修正となったという。中でも前工程向け材料市場に限れば同5%増の164億ドル、消耗品市場についても同10%の38億ドルと、全体よりも高い成長率を達成する勢いだという。
新型コロナウイルスの感染拡大の中にあって、在宅での勤務や授業の世界的な採用により、半導体需要は今後も安定して伸びていくことが予想され、それに併せて材料市場も2020年から2024年までの年平均成長率(CAGR)は5.4%と安定した成長が見込めるという。
コバルトが急成長
同社によると、先端プロセスであるFinFETを採用するロジック向けに、Cuに代わる新規配線材料であるコバルト(Co)の需要が前年比30%増と高い伸びを示しているという。ただし、従来配線材料のCuも、Coの導入により多少成長率が鈍化するものの、デバイスの数そのものの増加などもあり、依然として需要は高いままとの見方を示している。また、Coは、その生産量の過半数、埋蔵量でも約半分をコンゴ民主共和国が占めているとされるが、紛争などの諸問題が山積されており、材料メーカー各社は紛争の発生がなく、持続可能性を保証するための多大な努力を続けているという。
加えて、同社ではワイヤボンドではなく、フリップチップやインタポーザ、マルチチップパッケージなどの高度なパッケージングの価値が相対的に高まってきていることから、2020年のパッケージング材料市場は前年比1%超の成長率となるとの見方を示している。