茨城交通、みちのりホールディングス(みちのりHD)、日立市、茨城県、住友電気工業(住友電工)、パイオニアスマートセンシングイノベーションズ(PSSI)、小糸製作所、コイト電工、KDDI、KDDI総合研究所は9月23日、10月上旬から2021年3月上旬(実証実験準備期間を含む)のうち13週間で中型バスを用いた自動運転走行実証実験を行うと発表した。

同事業は、経済産業省・国土交通省の事業を受託した産業技術総合研究所から2019年度に「中型自動運転バスによる実証実験」を実施するバス運行事業者に選定され、実施するものとなる。今回は、2018年に2週間実施した「ラストマイル自動走行の実証評価(日立市)」に続く2回目の走行実証実験であり、自動運転車両と通信を行う路側センサと遠隔監視装置の検証を行う。

ひたちBRTは昨年3月に第2期の延伸工事を完了し、道の駅日立おさかなセンターとJR常磐線常陸多賀駅の間を結ぶ専用道区間(約6km)を含む路線長が約9kmの路線になっており、年間約53万人が利用している。

今年度の実証実験では、前回の約3.2kmから延伸した新たな路線で通常の路線バスのダイヤに追加して自動運転バスのダイヤを設定し、運行する。一般の利用者が広く利用する環境を作ることで、特別な移動手段ではなく通常の移動手段としてより多くの利用者に乗車してもらい、2022年以降の本格的な商用運行に向けた課題抽出を進めることを目指す。

  • (左) 2020年度の走行予定ルート/ (右) 2018年度の実証実験時の様子

    (左) 2020年度の走行予定ルート/ (右) 2018年度の実証実験時の様子

本格商用実装に向けた取り組みとして、高い安全性と多様な環境下で安定した運行を実現するため、「路側センサによる自動運転車両との協調」「遠隔監視装置」の2点の技術を導入する。

路側センサによる自動運転車両との協調では、専用道区間や一般道区間において、自動運転車両から見通しの悪い場所に各種光学センサや電波センサを活用した路側センサを敷設し、自動運転車両と通信することで、自動運転車両の死角を減らす。

これらの路側センサと前回実証にて検証した信号協調システムが連携することで、自動運転バスが安全に走行できる走行環境の構築とスムーズな定時走行を目指す。これら路側センサの設置は、住友電工、PSSI、小糸製作所、コイト電工の協力のもと行う。

遠隔監視装置については、路側センサや信号協調システムとの連携を含めた自動運転バスの円滑な運行を支援するためKDDI、KDDI総合研究所から遠隔監視装置と遠隔に情報を送信するための通信環境を提供する。

遠隔監視装置は、自動運転バスの走行状況をカメラ映像や各種状態情報で確認することに加え、車外に設置する路側センサの稼働状態もモニタリングすることで、将来的に自動運転バスが運行する際の運行管理のあり方についても検証を進めていく。