富士通は9月16日、AIがスコアリング予測を行い、次の効果的なアクションを提示するAIスコアリングプラットフォームサービスを開発し、営業マーケティング、ローン審査、不正検知など、金融業界の業務を支援する「FUJITSU Finplex AIスコアリングプラットフォームサービス EnsemBiz(Finplex EnsemBiz:フィンプレックス アンサンビズ)」の提供を開始した。
金融業界では、FintechやAI活用などの最新技術を用いたDX推進が競争力向上に不可欠として積極活用が叫ばれる一方、信頼性や利便性が求められる金融サービスでは、実運用に踏み切るには時間を要しているという。特にAIには導き出した結果の根拠がわからないことが、経営や投資判断へのAI活用を阻む一因となっているほか、AI人材の不足や大量の学習データの準備が課題に挙げられるという。
新サービスは、富士通研究所が開発したAI技術「Wide Learning」を組み込み、少ないデータでの高精度な予測と、次のアクションの提示を可能にしており、例えば営業マーケティング活動での効率的なアプローチ、ローン審査業務の効率化、不正請求や詐欺の検知によるリスク回避など、さまざまな業務に活用することができるという。
また、データの網羅的な組合せを列挙して分析することで、予測を行い、予測結果に強い影響を与えたデータの組合せを根拠として提示することで、人が理解でき、納得性の高い結果を得ることができるという。
さらに、これまでのAI活用ではデータサイエンティストが予測結果に基づき分析していた次にとるべきアクションをAIが自動で複数提案し、予測に用いるデータの中にアクション項目を入れ、組み合わせと結果を分析することで、次なるアクションを提示することができる。これにより、効果的かつ効率的なアプローチを選択・実施できるようになり、ビジネスや業務の意思決定をサポートし、分析の自動化で業務運用の負荷低減が図れるとしている。
加えて、AIを活用する際に実施するデータクレンジングやデータ加工、大量のパラメータチューニングなどの作業は一般的にデータサイエンティストが実施するが、GUI操作で容易にデータを事前処理でき、BIツール「Tableau」と連携することで予測結果をグラフ表示できるため、専門知識がなくても手軽に利用できるという。
データのすべての組み合わせから有効なものを選別して予測するため、少量データでもデータ中の特徴を導くことを可能とすることで、AI学習用に大量のデータを用意する必要がなく、新たな領域へのAI適用を可能としている。
提供形態はパッケージによるオンプレミス型と、SaaS型の提供形態があり、導入支援や実証導入などを実施。価格はパッケージの基本ライセンスが月額60万円~、2023年度末までに売り上げ10億円を計画している。